2019年4月29日月曜日

話している相手の視線の外し方に注目すれば「気の利く人」になれる

話している相手の視線の外し方に注目すれば「気の利く人」になれる






peach / PIXTA(ピクスタ)
 統一地方選挙で、演説をしている候補者をよく見かける。注意深く見ていると、候補者ごとに視線の外し方に特徴があることがわかる。

◆視線を外す方向で伝わるメッセージ

 聞き手に向かってなかなか視線を外さないで凝視しているように見える候補者もいれば、こまめに外す人もいる。うなずくように視線を外す人もいれば、思いめぐらすように、上や斜め上に視線を外す人もいる。

 筆者が実施しているビジネススキル実践力を向上させる演習プログラムの参加者に聞いてみると、うなずくように下に視線を外すと、その話し手の話に巻き込まれやすいと答える人が多い。

 それも、フレーズごとにゆったりと区切って間(ま)をつくり、うなずくように理解を促したり、次に何を言うのか聞き手に期待させたりするという表現スキルを駆使していくと、相手を巻き込む効果が高まる。

 右に向いてワンセンテンス話してうなずき、話しをやめてゆったりと間を置いているあいだに左を向いて、おもむろにワンセンテンス話してうなずき、右の聞き手も、左の聞き手も巻き込んでいく。

 そうすることで聞き手の理解を求めようとしている、賛同を得たいと思っているというメッセージを伝えやすいのだ。

 一方、こうした動作と好対照に思えるのが、中日ドラゴンズの元監督の落合
博満氏のアイコンタクトの外し方だ。スポーツ番組に出演して発言する際に、天を仰ぐように、上に視線を向けて、視線を動かすように話すことがよくあるように見える。

 それはあたかも、その場で情景を思い出しているように、自分の考えそのものを絞り出しているように思えて、臨場感がある。借り物の、手あかのついた、使い古された言葉ではない、自分自身が今、その場で心の底から感じていること、本気で思っていることを伝えているというメッセージが伝わる。

 以前も紹介したように、視線の外し方ひとつで、聞き手にメッセージを伝えることができるのだ。

 だとすれば、その逆に、相手が視線をどのように外すかによって、相手が何を考えているか、汲み取ることもできるはずだ。

◆視線の外し方で本音を見抜く

 ビジネススキルを向上させる能力開発プログラムを実施していて、受ける質問に、「お客さまの本心がわからない」「若手が何を考えているかわからない」という類のものが増えている。

 親しい間柄だったり、長く一緒に仕事をしてきた仲間であればいざしらず、お客さまが常に本音で話してくれるとは限らない。同世代であればともかく、異なる世代の人の気持ちが見抜けないということもよくあることだ。

 そんなときに、相手が語る内容だけでなく、相手の視線の外し方で本音を見極めることができたら、その相手を巻き込むことがさらにできるようになるに違いない。

 20年来演習するなかで、私が実施する能力開発プログラム参加者の視線の外し方とそれが伝えるメッセージには相関があることがわかってきた。もちろん例外はあるだろう。しかし、ひとつの基本の型として知っておけば、各段に相手を引き付けることに役立つ方法だ。

◆斜め上は、時間が気になる人のしぐさ

 相手が上に視線を外す場合には、何かを考えていたり、思いあぐねている場合が多い。そんなときに、相手に考える余裕や時間を与えずに、こちらが話し続けたり、声をかけたりすると、相手は心地よく思わない。

 相手が斜め上に視線を外す場合には、他のことに気をとられていたり、斜め上に時計がある場合などは特に、時間が気になっていることがある。それに気づかなかったり、無視して、話し続けていくと、相手は時間が気になりそわそわしてしまったりする。

 視線を横に外している場合は、意見が一致していない、抵抗感を覚えているということがある。また、斜め下に外している場合は、自信がないと感じていることがある。

 下にしっかりとうなずくように視線を外して自信をもって相手を巻き込む動作とは異なり、確定情報ではないというニュアンスが伝わりやすい。そんなときに、「何か気がかりな点がありますか」と聞いてあげれば、相手は安心してその懸念を話してくれるかもしれない。

◆視線を外す方向に含まれる意図とは

 質問:視線の動きから相手の反応を読み取れるか

 視線を外す方向の違いにより、異なる意図が伝わるのであれば、仮に無意識の動作であったとしても、相手がどの方向に視線を外したかによって、相手の反応を読み取れるのでしょうか?

 回答:相手の視線の動きに対応する

 相手が、上に視線を外したのであれば、「何か考えている」という反応を示していると受け取れます。だとすれば、話すペースを落としたり、一旦話を停止したりして、相手に考えてもらう時間をつくるということは得策です。

 相手が斜め上に視線を外したとすれば、「時間を気にしている」という反応を示している可能性があります。「お時間大丈夫でしょうか」と聞いてみることも一方法です。

 相手が横に視線を外したのであれば、「反対意見を持っている」かもしれません。「この意見について、どう思いますか」と聞いてみることはお勧めです。

 相手が斜め下に視線を外したのであれば、何か考えているけれども「自信がない」ということかもしれません。「何か気になっていることがありますか?」と聞いてみるとよいと思います。

 そうすることで、相手の反応を先取りした対応をすることができます。相手から、「気の利く人だ」「私の気持ちをわかってくれる人だ」という印象を持ってもらいやすくなります。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第133回】

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある

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