50代になったら、老後の主な収入源である年金について、そろそろ確認しておきましょう
50代になると人生の半分が過ぎ、年金や老後のことなどが気になり始める年代です。老後の主な収入源である年金について、そろそろ確認しておきましょう。年金を受けられる加入期間を満たしているかどうか、年金を少しでも増やすにはどうしたらいいかなどを知っておき、後悔しないようにしたいものです。

50代は、62歳から65歳の間に年金支給が始まる年代

「65歳支給」といわれている年金ですが、実際は60歳から65歳へと、少しずつ支給開始年齢が遅くなっています。50代で1年以上、会社員・公務員だった人は、62歳から64歳までの間に「特別支給の老齢厚生年金」として部分的に年金をもらえる人も多いのです。

一般の会社の定年年齢は女性が55歳、男性が60歳だったため、女性の支給開始年齢は男性より早くなっています。


まずは、自分がいくつから年金をもらえるのか正確に知っておきましょう。ちなみに、厚生年金に1年以上加入していなかった人の年金は65歳支給になります。

50代が年金で主に確認しておくことは?

50代は年金をもらうまでに5年から15年の期間がありますが、それまでに確認しておいた方がいいことを挙げてみましょう。

▼1. 老齢基礎年金を受けられる10年間(最短)の年金加入期間があるかどうか確認「10年も保険料を払っていない、会社員をしていない」という方は、年金事務所で氏名検索してもらい年金記録を確認してきましょう。

▼2. 10年の年金加入期間がない場合は……昭和61年3月以前に会社員の配偶者だった期間、海外居住期間、学生期間等がないか確認。

▼3. 25年の年金加入期間があるか確認年金期間が25年以上ないと家族が遺族年金を受けられないことがあります。

▼4. 25年の年金加入期間がない場合は……昭和61年3月以前に会社員の配偶者だった期間、海外居住期間、学生期間等がないか確認。

▼5. 25年の年金加入期間がなければ65歳までは勤めて厚生年金に入る、または65歳まで任意加入し国民年金保険料を支払うことを検討(10年あれば本人は年金を受けられるが、少しでも多い方がよい)。

▼6. 自分のまたは配偶者の定年年齢はいくつか? 年金をもらう年齢までの収入や貯蓄はどうか?特に夫が退職する場合、妻は国民年金保険料を支払う必要があるので要注意です。

次の項から、年齢層ごとに注意点を確認してみましょう。

昭和35年4月2日から昭和36年4月1日生まれ(2019年度に59歳)の人

1年以上、厚生年金に加入している男性は、64歳から特別支給の老齢厚生年金、65歳から老齢基礎年金+老齢厚生年金が支給されます。女性は62歳から特別支給の老齢厚生年金、65歳から老齢基礎年金+老齢厚生年金が支給されます。

年金をもらうまでに、もう10年もありません。10年の年金加入期間がない人は、70歳まで国民年金に加入することもできます。70歳以降も10年を満たすまで厚生年金に入ることができます(事業主の合意が必要)。

59歳時のねんきん定期便には、直近1年間だけでなく、今までの年金支払いや、年金がいつから、いくらもらえるかが表示されています。ただし、60歳以降の就業状況や家族状況は考慮されてない額なので、一度、年金事務所で個別に試算をした方がいいでしょう。

昭和36年4月2日から昭和39年4月1日生まれ(2019年度に56歳から58歳)の人

1年以上、厚生年金に加入している男性は、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに65歳支給、女性は63歳から特別支給の老齢厚生年金、65歳から老齢基礎年金+老齢厚生年金が支給されます。

この年齢層も年金をもらうまでに10年ありません。10年の年金加入期間がない人は、70歳まで国民年金に加入することもできます。70歳以降も10年を満たすまで厚生年金に入ることができます(事業主の合意が必要)。

昭和39年4月2日から昭和41年4月1日生まれ(2019年度に54歳から55歳)の人

1年以上、厚生年金に加入している男性は、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに65歳支給、女性は64歳から特別支給の老齢厚生年金、65歳から老齢基礎年金+老齢厚生年金が支給されます。

年金を受けるまでに10年以上ある人も多い年齢層です。投資に抵抗がなければ、老後の自助努力として確定拠出年金(iDeCo)を始めてみてもいいでしょう。

20年以上の厚生年金加入者の配偶者に支給される「振替加算」は少額ですが、該当者には一生支給されます。年上妻や会社員妻の夫など、振替加算がもれやすいので、年金事務所でよく確認しましょう。

昭和41年4月2日から昭和43年4月1日生まれ(2019年度に52歳から53歳)の人

1年以上、厚生年金に加入している人は男女ともに、老齢基礎年金、老齢厚生年金の両方が65歳以降の支給になる年齢層です。

年金を受けるまでに10年以上ある年齢層です。投資に抵抗なければ、老後の自助努力として確定拠出年金(iDeCo)を始めてみてもいいでしょう。

昭和41年4月2日以降生まれから、20年以上厚生年金に加入している人の配偶者に支給される「振替加算」がなくなります。

昭和43年4月2日から昭和45年4月1日生まれ(2019年度に50歳から51歳)の人

このまま年金法が変わらなければ、1年以上厚生年金に加入した人は男女ともに、老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給が65歳以降になる年齢層です。

ただ、年金支給までに15年あるこの年齢層、もしかすると、「少しずつ70歳支給に」するため、特別支給の老齢厚生年金が65歳から、66歳から老齢基礎年金+老齢厚生年金支給になる可能性があるかもしれません。


こちらも年金を受けるまでに10年以上ある年齢層です。投資に抵抗なければ、老後の自助努力として確定拠出年金(iDeCo)を始めてみてもいいでしょう。

ただし、10年以上の投資期間も取れることですし、投資信託の方が増やせる可能性がありそうです(元本保証はないが)。金利の低い定期預金タイプや生命保険タイプはあまりおすすめできません。金融機関の手数料の方が高くなりそうだからです。掛金は全額所得控除なので、所得税・住民税を節税できる可能性が高いです。

50代のねんきん定期便と50歳前のねんきん定期便の違い

50歳前のねんきん定期便は、支払った保険料に応じた年金額が表示されています。ちなみに、50代のねんきん定期便は60歳まで国民年金保険料、または厚生年金保険料を支払ったものとして年金額を計算していることが大きな違いです。

50代で退職して年金保険料を滞納したり、勤務を続けていても減給されたら、予定していた年金額より減ってしまうので、そこをよく肝に銘じておきましょう。
(文:拝野 洋子(マネーガイド))