「平均値」ではなく、「中央値」というデータもチェックしておく必要があります。世代別・年収別に貯蓄額のデータを見ていきましょう。

単身者の貯蓄額は平均値が744万円、中央値が50万円

一人暮らし(単身者)の人は、他のみんながどれくらい貯めているか、密かに気になりませんか?

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査【単身世帯調査】」(2018年)によると、単身者(一人暮らし)の人の平均貯蓄額は744万円、中央値は50万円という結果が出ていました(正しくは「金融資産保有額」ですが、当記事ではまとめて「貯蓄」と表記します。また、例えば来月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金ではなく、将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金をここでは「貯蓄」とします)。

▼「平均値」と「中央値」の違い「平均値の744万円にはおよばないけれど、中央値の50万円の貯蓄だったらあるかも……。でも、平均値と中央値って何が違うの?」と感じた人もいるかもしれません。

そこでまずは、「平均値」と「中央値」についての違いをお伝えします。

一人暮らしの友達が10人いたとします。そのうちの9人が10万円、1人が1億円を持っていたとすると、「だいたいみんな10万円持っているよね」という感覚になりますよね。

ところが、実際に計算して平均値を取ると、(10万円×9人+1億円×1人=1億90万円)÷10人=1009万円です。ほとんどの人が10万円しか持っていないのに、たった1人、1億円を持っているだけでその数字に引っ張られ、平均値はおよそ1000万円になってしまったわけです。

つまり、「平均値」とは、極端に高い数字(または低い数字)があると、それに引っ張られてしまい、「真ん中」からズレていってしまうのです。

そこで注目したいのが、「中央値」です。中央値とは、高いほうと低いほうから順番に数えていき、ちょうど真ん中にある数値のこと。この友達10人の場合は、「10万円」ですね。「みんな10万円くらい持っている」というほうが、実感値に近いのではないでしょうか。つまり、「真ん中」を知りたい場合は、平均値よりも、「中央値」を見るほうがいいというわけです。

では次に、20代、30代、40代の単身者(一人暮らし)の貯蓄額の「平均値」と「中央値」を、年収別に見ていきましょう。

20代の単身者の平均貯蓄額は?

・年収300万円未満……平均値52万円/中央値0万円
・年収300~500万円未満……平均値158万円/中央値75万円
・年収500~750万円未満……平均値528万円/中央値278万円
・年収750~1000万円未満……(回答者2人のため除外)
・年収1000~1200万円未満……(回答者1人のため除外)
・年収1200万円以上……(回答者1人のため除外)

30代の単身者の平均貯蓄額は?

・年収300万円未満……平均値118万円/中央値1万円
・年収300~500万円未満……平均値506万円/中央値200万円
・年収500~750万円未満……平均値749万円/中央値250万円
・年収750~1000万円未満……(回答者3人のため除外)
・年収1000~1200万円未満……(回答者3人のため除外)
・年収1200万円以上……(回答者2人のため除外)

40代の単身者の平均貯蓄額は?

・年収300万円未満……平均値173万円/中央値0万円
・年収300~500万円未満……平均値458万円/中央値100万円
・年収500~750万円未満……平均値1602万円/中央値800万円
・年収750~1000万円未満……平均値2663万円/中央値2650万円
・年収1000~1200万円未満……(回答者8人のため除外)
・年収1200万円以上……(回答者1人のため除外)

基本的に「平均値」はやや高め、「中央値」はやや低めのケースが多かったのではないでしょうか。

どのような人生を歩みたいかは一人ひとり異なりますので、一人ひとりの必要貯蓄額は異なります。

でも、どれくらい貯めたらいいかがわからない場合、一案ですが、まずは「中央値」を目指し、それをクリアしたら「平均値」を目指す、という目安にしてもいいかもしれません(※平均値のほうが中央値より高かった場合)。

もちろん、これはあくまでも一般的なデータ。この数字にとらわれすぎず、自分の目標や夢にあわせて貯蓄額を考えて、貯めていくようにしたいですね。
(文:西山 美紀(マネーガイド))