人間には喜怒哀楽といった様々な感情がありますが、「嫉妬」も人間が抱く感情で、誰でも感じるものです。それには必ず何かの意味があり、嫉妬から目を背けるのではなく、制御の方法、活かす方法を見出すヒントをご紹介します。

嫉妬は年齢に関係なく、常に付きまとうもの

人間には喜怒哀楽といった様々な感情がありますが、「嫉妬」も人間が抱く感情で、誰でも感じるものです。たとえば幼児であっても、自分に妹や弟ができて親の愛情がそちらに注がれることに嫉妬することがあります。

思春期になれば、スポーツができるかどうか、モテるかどうか、勉強ができるかどうかで比較されます。恋愛でも嫉妬はつきものです。社会に出れば仕事上の成果や昇進などで遅れをとると、「なんでアイツが」などという感情を抱きやすいでしょう。

そのほか、結婚で配偶者のスペックを比較しあったり、持ち家か賃貸か、所有しているモノ、子どもの進学先などでも、他人と比べたりしては嫉妬する人もいます。

老後を迎えてからも、自分より有能な若者を見れば「青二才のくせに」などと反発したくなったり、自分より楽しく過ごしている友人に嫉妬したりするかもしれません。このように、この嫉妬というものは一生付き合っていく感情です。

嫉妬心」は「競争心」に変えられる

しかし、多くの人が「自分はあの人に嫉妬している」とは言いたくないし、認めたくないもの。なのに激しい嫉妬心にとらわれると、自分を否定したり、ときには相手を否定したり、苦しい思いをします。

そのため、この感情を上手に制御・処理できなければ、長期間にわたりジワジワと心をむしばんでいくことになりかねません。

たとえば努力をあきらめて自暴自棄になったり、他人を引きずりおろすことばかりに心を奪われたりしてしまう人もいます。あるいは、人と比べて自分が勝っていることを示し、優越感に浸ることでしか自分の価値を確認することができない人もいます。

一方、嫉妬心から「競争心」につながることも多く、「負けるもんか」という発奮のエネルギーにもなるのが嫉妬が持つ特徴でもあります。 

自分の嫉妬に目を向ける

嫉妬も人間に備わった感情。必ず何かの意味があるはずです。だから嫉妬から目を背けるのではなく、嫉妬という感情とその意味を深く理解することで、嫉妬心の制御の方法、活かす方法が見えてくるのではないか。

たとえば嫉妬が起こるのは、「自分の優位性が脅かされたとき」ですから、これは恐怖や不安と同じく、人間の防御本能ととらえることができます。

ということは、「他人のほうが自分より優位にある」ということで、「このままではいけない」と気づくこと。そしてこの嫉妬は自分の優位性を取り戻したときに解消されるといういこと。

つまり嫉妬は「努力が必要だと気づくチャンス」であり、「上昇のための燃料」なのです。「羨ましい! 自分もそうなれるよう頑張る!」というわけです。

嫉妬は自分の目標を再確認するきっかにもなる

もう1つ。「嫉妬は自分が努力べき方向性を知るきっかけ」になります。

「自分が興味がある」からこそ嫉妬するわけで、たとえば海外旅行に興味がない人が、海外旅行に行ったという人に嫉妬はしないでしょう。トライアスロンに興味がなければ、同僚が大会で優勝しても嫉妬しないでしょう。

嫉妬するということは、それは自分が望んでいることを他人が成し遂げたから。つまりそれは、「自分の目標」を確認できる場かもしれないのです。

そう思えれば「あなたのおかげで私もやる気になった」と自分に言い聞かせ、自分は自分の目的・目標にフォーカスすることができるようになるでしょう。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))