ゴールドカードやその上のプラチナカード。「ステータス」を見える形で示す手軽なアイテムとして、保有したい人も少なくないはずですが、そのためには「審査」という壁があります。ここでは、その審査の通過の基準やクリア法を考察してみます。

「信用情報」がクレジットカード保有できるかを左右する

ご存知の方も多いと思いますが、クレジットカードには「グレード」という名の明確なヒエラルキーが存在します。そのピラミッドの底辺に位置するのが、いわゆる「一般カード」。その上に「ゴールド」、さらに「プラチナ」、そして頂点には「ブラック(アメリカン・エキスプレス)」「プレミアム(ダイナース)」「ザ・クラス(JCB)」が存在します。

クレジットカードの「Credit」は、商取引や金銭の貸借における「信用」を表す単語です。つまり、信用のない人はクレジットカードを保有できないということです。

では、信用の有無、程度をどう判断するのか。それが「審査」です。審査の基準はクレジットカード会社が独自に決めていますが、その判断材料としてもっとも重きを置いているのは、JICC(日本信用情報機構)やCICといった信用情報機関が提供する、申込者の履歴=クレジットヒストリーとなります。

クレジットヒストリーとは、カードの利用状況の詳細な記録です。過去にあった支払いの遅延は当然、審査にとってはマイナス要素です。クレジットカードだけでなく、各種ローン、キャッシングの返済やスマホ料金の支払いの遅延といった履歴が記載されていることもあります。これら情報が別名「ブラックリスト」と呼ばれる所以です。

ここ最近、複数のクレジットカードを申し込んでいるケースも、審査には不利(経済的に苦しい状況である可能性があるため)となるでしょう。

ただし、これらの個人情報が信用情報機関に保管されるのは、最長5年間といわれています。債務整理や自己破産といった強烈な過去があっても、5年でまっさら。かくいう私も、とある事情でブラックリストに記載された過去がありますが、数年後には「信用のおける人間(あくまで信用情報上)」として社会に認知され、何事もなかったかのようにクレジットカードを保有できました。

審査は通るのでなく、知らないうちに通っている!? ゴールドカードの場合

さて、審査にはどのカード会社にも共通する点があります。それは、カードのグレードが上がるほど審査がきびしくなるということ。具体的に見てみましょう。

まず、ゴールドカードの場合。 審査を通過するには、

(1)信用履歴に傷がないこと
(2)安定した収入があること(できれば正社員)

この2つは外せない条件といえます。「ダイナースクラブカード(ダイナースでは最下位のカードながら、グレードは他カードのゴールドと同等かそれ以上)」は、年齢は満27歳以上、年収は500万円以上などの具体的かつハードな条件を設定しています。

プラチナカードの取得方法とは? 審査基準はゴールドよりきびしい?

次にプラチナカードですが、取得方法が大きく2つに分かれます。

まず、ゴールドカード同様、本人の申し込みによる取得。現在、「三井住友VISAプラチナカード」「JCBプラチナ」「MUFGカード・プラチナ」が、それに該当します(いずれもオンラインの申し込み可能)。

対して、申し込みを受け付けず、招待制を採用しているカードがあります。「アメリカン・エキスプレス・プラチナ・カード」です。発行会社から「あなたはプラチナカードを持つのにふさわしい方です」といったインビテーションが届いた人=選ばれた人だけが持つことを許されるのです。

この形は、プラチナのさらに上の「アメリカン・エキスプレス・ブラック・カード『センチュリオン』」「ダイナース ブレミアム カード」「JCB ザ・クラス」でも同様です。

そのプラチナカード、取得方法は違っても、審査基準がゴールドよりきびしいことに違いはありません。そして、審査が通る、もしくは招待を受ける方法は、その1つ下のゴールドカードを使用し、良い履歴(支払いの遅延がなく、継続的な安定的カード使用)を積み重ねていくしかありません。また、持ち家や既婚の方が有利という説もありますが、必ずしも必須条件とはいえないでしょう。

何を隠そう、私のところにもインビテーションが届いたことがあります。保有コストの高さ(年会費13万円)から、心の中で丁重にお断りしましたが、かつて社会から「ダメの烙印」を押された私にでさえ、数年履歴を重ねたことでそういう事態が起きたわけです。下からコツコツ。クレジットカードでステータスを得るには結局、この方法が最短かもしれません。
(文:清水 京武(マネーガイド))