2019/9/25 20:24
九州電力がレタスを栽培する大規模植物工場の事業化に向けた検討を始める。背景には「電気以外」の新事業の育成という目的に加え、自ら将来の電力需要を創出しようとする狙いもある。
「シャキシャキして、えぐみもなくおいしい。野菜が苦手なお子さんでも食べやすいのでは」。池辺和弘社長は25日、提携する植物ベンチャーのスプレッド(京都市)が運営する植物工場で生産されたレタスを試食し、笑顔で感想を述べた。
スプレッドは現在、京都府の亀岡市と木津川市でレタス工場を運営している。栽培工程を一部自動化し、従来の植物工場に比べて半分の人数で運営できるのが特徴だという。工場は完全密閉型で、レタスは発光ダイオード(LED)照明を当てて育てる。水も循環型のため省エネ効果が大きく、かつ無農薬で栽培できる。
豊前発電所(福岡県豊前市)の遊休地の一部、約1万2千平方メートルに建設する予定の工場は1日5トンのレタスを出荷できる見通し。事業化のあかつきには年間10億円の売り上げを目指すとした。
新事業の収益に加え、九電は本業である電気事業でのメリットも見込む。省エネ技術に優れる工場だが、温度維持のための空調など使用電力規模は大きい。少子高齢化の進行で将来の電力需要の伸びが見込みにくいなか、植物工場は新たな電力の引受先としての期待もかかる。
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