短期間に1億円を作れる人と作れない人との差とは何でしょうか。実はテクニックや知識ではないところで勝負が決まってしまうのです。

誰だってリスクを負いたくないけれど……

以前、こういう人がいました。

「不動産投資はリスクがある、借金は怖い、自己資金は使いたくない、でも駅近で利回り10%はほしい」

私はこう答えました。

「そんな物件があれば、ぜひ私にも教えてください」

誰だってリスクを負いたくない。自己資金も使いたくない。もちろんリターンは高い方がいい。確かにその通り。でも、そんな都合の良い投資ってあるのでしょうか?

その投資を続けていて本当に1億円作れるのか?

多くの人が「1億円を作りたいか」と聞かれると、「作りたい」と答えると思います。

では、「そのための具体的な行動を何かやっているか」と聞かれると、どう答えるでしょうか。あるいはやっているという人でも、「その方法で本当に1億円作れると思っているのか」と聞かれると、どう答えるでしょうか。

もちろん、どのくらいの期間かによって、最適な投資対象や方法は異なってくると思いますが、もし短期での形成を目指しているのであれば、それに即した方法があるはずです。

そして、短期形成のためにはやはり、多額の資金を投入する、もしくは高いレバレッジをかける必要があります。しかし、そこでビビって足がすくんでしまう人が多いのも事実です。

「1年で3億円作る」はバクチ的だといわれますが、果たしてそうでしょうか。

競馬に100円つぎ込むのも、100万円つぎ込むのも、バクチには変わりありません。しかし、ある程度カタイ投資であれば、100万円つぎ込むのも1000万円つぎ込むのも、リスクの大きさとしては大して変わらないというのが、今までの実感です。

私もよく「サラリーマンが多額のローンを組んで不動産を買うのは、リスクが大きすぎて普通の人には向かない」という指摘を受けます。そもそもローンの金額が大きい=リスクが大きい、という考え方自体、論理の飛躍があるのですが、現金が貯まるまで待っていたら、一生節約人生で終わってしまいかねません。

資金は大きく動かすほど多額のリターンが得られる

1500円の株を1000株買うには、150万円必要です。その株が2割上昇したとすると、30万円の利益が得られます。

もしこれに1500万円投下すれば、300万円の利益が得られ、得られる金額は格段に大きくなります。でも、1つの銘柄に1500万円も投下するのは、怖くてできないという人も多いでしょう。

300万円の利回り12%のワンルームマンションを現金で買うと、年間36万円の家賃収入が得られます。

しかし、300万円を元手に5000万円のローンを組んで、利回り8%の1棟アパートを購入したとすると、金利3%、返済年数30年として、年間90万円の手取り収入が得られます。でも、5000万円もの借金をするのは、怖くてできないという人も多いでしょう。

これが、お金持ちになれる人と、願っていてもそうなれない人との差です。

株なら多額の資金を投下する。FXや不動産なら大きくレバレッジをかける。ビジネスで儲けるなら(事業の内容にもよりますが)多額の広告費をかける。

もちろん、他にも方法はありますが、株にしろFXにしろビジネスにしろ、大きなレバレッジをかけたり、大きく資金を投下したりするなどしてリスクをとるからこそ、短期に大きなリターンが期待できるわけです。

意志決定する胆力が必要

要するに、

短期間に大きく増やしたい
 ↓
資金を大きく動かす必要がある

資金を大きく動かすのは怖い
 ↓
短期間に大きく増やすのはあきらめる必要がある

ということです。本気で1億円を作りたいなら、もちろん学習や情報も必要ですが、やはりそれなりの決断をする胆力が必要となります。

しかし、自分が快適な範囲が、借金をしないこととか、資金を大きく動かさないということなら、その程度の資産しか作れないとあきらめるべきでしょう。

本業で大きな意志決定ができる人なら、本来は投資でも大きな意志決定ができるはず。逆に言うと、投資で大きな意志決定ができない人は、本業でも大きな意志決定ができない、つまり、仕事ができない人、ということもいえるかもしれません。

私も当時は少ない自己資金しかなかったので、ほとんどフルローンに近い借り入れで不動産を取得しました。だからこそ、毎月100万円にものぼるキャッシュフローが生まれているのです。

ある程度お金が貯まってきたら、1銘柄に1000万円以上つぎ込んで株を買いました。だからこそ、数百万円という単位で売却益を享受することができたのです。

なぜなら、私自身、「自分にはお金がない」ことをわかっていたし、「でも短期間で増やしたい」という欲があったからです。

人によって投資の目的や作りたい資産規模、目指すリターンはそれぞれ異なりますが、自分が目標に到達できるような意志決定を本当にしているのかを、今一度振り返ってみてください。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))