そもそも海外のお金持ちのほとんどは、家政婦やベビーシッターを雇っていることを考えると、「家事育児は母親がやるべき」なんていうのは化石のような価値観だといえるでしょう。
忙しい共働き世帯で、家事と育児を両立させることが難しく、夫婦喧嘩が絶えないとか、どちらかが会社を辞めなければならない、と悩んでいる家庭があるとしたら、家政婦やベビーシッターというサービスを検討してはいかがでしょうか。

お金を払って人の手を借りるのも投資の1つ

確かに料金はそれほど安くはありません。特に赤ちゃんの世話は、シッターさんの質も重要ですから、しっかりした人にお願いすれば、やはりそれなりの費用がかかります。

私が一緒に仕事をした女性編集者は、2人目の子どもが生まれてからも夫婦共働きで、保育園にも迎えに行けないほど多忙だったため、平日はほぼ毎日ベビーシッターを利用していたそうです。費用は月に20万円もかかっていたそうで、「給料のほとんどがシッター代で消える」と言っていました。

給料のほとんどがシッター代! それでは何のための働いているのかわからないじゃないか、と思うかもしれませんが、これは大切な投資だといえるでしょう。

シッターを利用することを「育児の手抜き」「子どもがかわいそう」などと言う人がいますが、海外ではシッター利用はごく普通です。イギリスでは「ナニー」という専門資格ですし、他国でもたとえば高校生のアルバイトとして一般的です。

かわいそうかどうかなんて大人の勝手な思い込みであり、子どもに聞いてみなければわからないでしょう。手抜きとか、かわいそうなどというのは、自分の子育て観を正当化したいだけの全く根拠のない指摘に過ぎません。

家事の時間と労力を省くことで、仕事への意欲も高まる

家の掃除や洗濯、料理などをやってくれるホームヘルパー(家政婦)も同じです。掃除や洗濯などは、確かに快適に暮らすうえでは必要であるものの、それを行うこと自体で何か追加のメリットが得られるわけではありません。

生活上は価値があっても、経済的な価値は低い。もっとも、クリーニングや外食よりも安くあがるということはあるかもしれませんが……。

料理もやはり、何が入っているかわからない外食より手料理のほうが安心ですが、仕事からの帰り道にスーパーに寄って買い物をし、帰宅してから料理を作るのは大変です。そのために「ああ、やらなきゃ……」と自分を追い詰めたり、夫婦喧嘩になったり、疲れたり、睡眠不足になったりして、翌日の仕事や活力に支障が出るほうが問題です。

その時間と労力をお金で買うことで、家族団欒の時間が生まれ、気持ちの面でもゆとりを持てれば、次の日も疲れを残さずバリバリ仕事ができるでしょう。

であれば、その出費は投資的価値があるといえます。それこそ「家事育児は母親がやるべき」なんていうのは、専業主婦という生き方が主流だったころの遺物に過ぎません。

値段が全然違うので横並びで比較はできませんが、そもそも海外のお金持ちのほとんどは、家政婦やベビーシッターを雇っていることを考えると、そんな価値観にこだわるなんて、なんという時代遅れというか、頭が固いというか……。

家族の時間と活力を買うことは、価値のある投資

わが家でも、定期的に家政婦さんに来てもらっています。家事をする時間があれば、仕事にあてた方がリターンが大きいし、その浮いた時間で子どもと過ごすこともできます。

夜も仕事で埋まっていた頃は、料理の作り置き代行サービスで1週間分の料理を作ってもらったこともあり、これなら買い物も調理も不要です。

家の中に他人が入ることを嫌って利用しないという人がいるそうですが、同じ人に来てもらえば知人を招くのと同じような感覚です。

つまり、家族の時間とエネルギーを買うと考えれば、立派な投資と考えることができます。これをただ「もったいない」という人は、お金よりも自分の人生の価値を軽んじている可能性を疑ってみる必要がありそうです。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))