2020年6月6日土曜日

レオパレス21が希望退職で1000名の削減へ

レオパレス21が希望退職で1000名の削減へ
東証1部上場のアパート賃貸大手「レオパレス21」は、希望退職者の募集による1000名の人員削減を明らかに
代表取締役社長の報酬を90%減額するなど役員報酬の追加減額を実施するほか、顧問・相談役制度を廃止することも明らかに
界壁の施工不備による一連の問題に対して、抜本的な事業再構築策の一環として実施するもので、ホテル・リゾート事業や国際事業を譲渡・撤退する方針も併せて明らかに
対象となるのは35歳以上の社員で、退職日は8月31日の予定です。退職者には特別退職金を別途支給するほか、希望者には再就職支援を実施する方針で、この施策に伴う特別退職金などの費用として約30億円の特別損失を見込み
レオパレス21の20年3月期は803億円の最終赤字

東証1部上場のアパート賃貸大手「レオパレス21」は、2020年3月期通期連結業績予想を下方修正し、当期純損益が803億円の赤字に陥る見通しを明らかに
補修工事単価の上昇などに伴い補修工事関連損失として243億円、ホテル・リゾート事業や国際事業における保有資産の減損損失として約76億円のそれぞれ特別損失を計上したことから、売上高・営業損益・純損益ともに前回予想を下回る見通し
界壁の施工不備に絡む一連の問題で、補修工事の完了および入居者募集の再開が遅れたことから、平均入居率が80.78%に落ち込み賃料収入が減少しました。そのため、繰延税金資産を取り崩し法人税等調整額として214億円を計上

村上世彰氏関わる会社 レオパレス21社長ら解任へ株主総会請求




建設したアパートなどの施工不備が問題となっている「レオパレス21」に対して、旧村上ファンドの流れをくむ投資会社が、社長ら取締役10人全員の解任を提案するため臨時株主総会を開くよう請求しました。
臨時株主総会の招集を請求したのは、かつて「もの言う株主」として話題を呼んだ旧村上ファンドの村上世彰氏が関わる東京の投資会社「レノ」で、今月11日の時点でレオパレス21の14%余りの株式を保有しています。

レノは27日付けで会社に対し、宮尾文也社長ら取締役10人全員の解任と、レノ側が推薦する3人の取締役の選任を求める株主提案を行うため、8週間以内に臨時の株主総会を開くよう請求しました。

レオパレス21は、アパートの耐火構造が法律の基準を満たさないなどの施工不備が見つかり、この問題への対応で補修工事の費用が膨らむなどして業績が悪化しています。

今回の請求の理由について、レノは、施工不備の問題への会社の対応が当初の計画より遅れ、業績の下方修正を繰り返していることから、経営陣の大胆な刷新が不可欠だとしています。

これに対してレオパレス21は「当社の考え方と対応の方針については、請求の内容を慎重に検討のうえ、決まりしだい速やかに開示します」としています。

レオパレス施工不備問題 一級建築士3人の免許取り消し 国交省







不動産賃貸大手のレオパレス21が建設したアパートなどで施工不備が相次いで確認された問題で、国土交通省は、不正に関わったとして会社の一級建築士3人の免許を取り消しました。一連の問題で行政処分が出るのは今回が初めてです。
レオパレス21ではアパートの耐火構造が法律の基準を満たしていないなど施工の不備が見つかったことからすべての建物を調査し、全体の4分の3にあたる2万9774棟で問題が見つかりました。

これを受け、国土交通省は、今月13日付けで会社の一級建築士の社員3人の免許を取り消しました。一連の問題を受け、行政処分が出るのは今回が初めてです。

国土交通省によりますと、免許の取り消し処分を受けた3人は建物の工事が設計図のとおりに行われていなかったにもかかわらず、現場を十分に確認せず、違法な工事を見過ごしていました。

3人が関わったのは大阪府や愛知県など10の府県、合わせて62の物件の工事で、ほかにも多くの物件で不正が確認されていることから今後、処分を受ける建築士は増える見通しだということです。

レオパレス21は「今回の処分は、“会社”に対する処分と受け止めています。ご心配、ご迷惑をお掛けしていることを深くおわび申し上げます」とコメントしています。

レオパレス21の20年3月期は304億円の赤字

東証1部上場のアパート賃貸大手「レオパレス21」は、2020年3月期通期連結業績予想を下方修正し、当期営業損益が304億円の赤字に陥る見通しを明らかに

2019年11月9日:繰延税金資産における評価性引当額の算定に誤りがあったことから、数値データの訂正が発表されたため、それに合わせて当該データを修正
界壁の施工不備に絡む一連の問題により、全棟調査を優先させたことで補修工事の完了および入居者募集の再開が遅れたことから、平均入居率が約80%に低下するなど賃料収入が大幅に減少しているほか、空室損失引当金を70億円繰り入れたため、営業損益・純損益ともに従来の黒字予想を一転し赤字見通し

レオパレス、160億円でホテル3棟売却

2019/10/4 20:16


レオパレス21は4日、財務体質の強化をはかるため、ホテル3棟を売却すると発表した。売却額は160億円。賃貸用住宅やオフィスの売却も含め、2020年3月期に売却益約78億円を特別利益として計上する。

売却するのは札幌市や仙台市、福岡市のホテル。譲渡先は明らかにしていない。賃貸用住宅やオフィス計15棟は既に売却した。20年3月期の連結最終損益は1億円の黒字(前期は686億円の赤字)を見込んでいる。今回の売却を踏まえた業績見通しについては「ほかの要因も含めて精査中」として据え置いた。

過去に施工したアパートで新たに2816棟の物件で不備が見つかった。物件総数は2万3483棟(8月末時点)から、2万6299棟(9月末時点)に拡大。10月末までにすべての物件で不備の有無を調べるとしており、これまでに9割の物件で調査を終えた。

不備が見つかった物件の改修工事を進めているが、工事が必要なすべての部屋で改修を終えた物件数は900棟にとどまる。

9月の入居率は80.07%で、前月から0.14ポイント下がった。施工不良問題が昨年春に表面化してから14カ月連続で前年実績を下回った。

9月の入居率は改修工事が予定より遅れていることもあり、会社計画を5ポイント程度下回った。同社はアパートを一括で借り上げる「サブリース」を手掛ける。物件オーナーには一定の賃料の支払いを保証しており、入居者から得る賃料との差額が収益となる。

入居率が80%を下回れば、支払いが収入を上回る「逆ざや」に陥る。賃貸アパートの需要期は1~3月で、同社は入居率改善のために物件の改修を急ぐとしている。


レオパレス、8月の入居率80.21% 13カ月連続低下

2019/9/6 21:51

レオパレス21が6日発表した8月の入居率は80.21%で、前月から0.46ポイント下がった。昨年春に施工不良問題が表面化してから、前年実績を下回るのは13カ月連続となる。改修工事が遅れている影響などを受け、8月の入居率は計画値を4ポイントほど下回り、入居率の回復が遅れれば業績への影響が出かねない。
レオパレスはアパートを一括で借り上げる「サブリース」を手がける。物件オーナーには一定の賃料の支払い保証しており、入居者から得る賃料との差額が同社の収益となる。
入居率が80%を下回れば、支払いが収入を上回る「逆ざや」に陥る。入居率の低迷がこれ以上続けばレオパレスの経営に打撃となりうる。
入居率の回復には不備が見つかった物件の改修を速やかに実施する必要がある。レオパレスは施工した3万9085棟の物件で不備を調べ、8月末までに何らかの不備が2万3483棟で見つかった。一方、工事が完了した物件数は875棟(8月末時点)にとどまり、工事完了の時期は2020年6月以降になる見通しだ。

レオパレスの20年第1四半期は57億円の赤字

東証1部上場のアパート賃貸大手「レオパレス21」は、2020年3月期第1四半期決算短信を発表し、四半期純損益が57億3600万円の赤字

2018年4月に発覚した界壁の施工不備により、補修工事費用などとして45億500万円の特別損失を計上したほか、施工不備の調査および補修工事の完了までの期間、入居者の募集を停止していることに伴う入居率の悪化も影響し、営業損益・純損益ともに赤字となりました。なお、通期業績については前回予想を据え置く


レオパレス21、消防法違反など新たに267棟発覚

レオパレス21の賃貸アパートで建築基準法違反を含む施工不備が相次ぎ発覚している問題をめぐり、公表済み物件の中で消防法や火災予防条例の基準も満たさないものが267

レオパレス21の施工不備 建設したアパート全体の半数超える

レオパレス21は、施工不備が見つかったアパートが先月末の時点でおよそ2万棟となったことを明らかにし、この会社が建設したアパート全体の半数を超えました。
建設したアパートの耐火構造が法律の基準を満たさないなどの施工の不備が問題となっているレオパレス21は、建設したおよそ3万9000棟すべてを対象に調査を進めています。

それによりますと、なんらかの不備が見つかった物件は先月末の時点で1万9689棟となりました。これは前の月よりも2900棟余り増えて、この会社が建設したアパート全体の50%にあたります。

調査を終えたおよそ2万5900棟のうち、75%で不備が見つかったことになりますが、全体の3分の1にあたるおよそ1万3000棟については、まだ調査が終わっていません。

国土交通省は、調査のうえ、ことし10月までにすべての物件の補修を終えるよう指示していますが、先月末の時点で補修を終えたのは800棟余りにとどまっているということです。

他社施工の766棟にも不備=三者委「確認・検査不十分」と非難-レオパレス


















 賃貸アパート大手のレオパレス21は21日、同社による設計で他社が施工した766棟の物件にも不備が判明したと発表した。

 レオパレスの施工不良と同様、「界壁」と呼ばれる屋根裏の壁が設置されていないなどの物件が見つかった。調査した9割近くで何らかの不備があり、同社の施工不良問題は底なし沼の様相を見せている。

 同問題の原因を調査している第三者委員会は21日、これらの物件の不備に関して「責任は各施工業者にある」と指摘。その上で「レオパレスによる施工状況の確認・検査が不十分だった」と管理体制を非難し、同社による指示の可能性にも言及した。

 新たな不備が判明したのは、1983~90年ごろまでにレオパレスが設計し、他の建築業者が施工を担当した物件。調査を実施したのは4745棟のうち869棟で、その9割近くに不備が見つかった。残りの物件の調査については、第三者委の指示がなければ行わない方針という。 

レオパレス、経営も「改修」中 施工問題なお影響
















2019/6/21 4:30



レオパレス21のアパート施工不良問題が尾を引いている。2018年4月に判明後、責任を転嫁する発言や不誠実な対応が重なった。根底にあるのが内向きの経営体質だ。創業一族らが辞任を決めたものの入居率の低迷など課題は山積する。6月27日の定時株主総会の後に発足する新体制は、閉鎖的な経営体質の抜本改革が急務だ。

レオパレス、他社物件でも施工不良 原因を調査へ 

2019/6/11 20:19

レオパレス21は過去に同社が施工を担い、他社が手がけた物件に施工不良が見つかったとして、弁護士で構成する外部調査委員会で原因などを調べると発表した。この問題は国土交通省に報告しており、レオパレスは今月21日までに原因などを明らかにするように指示されている。調査委は同日までに一定の調査結果をまとめるという。


レオパレス、外部調査委に追加依頼 新たな施工不良で

2019/6/10 17:54

レオパレス21は10日、新たに施工不良の物件が見つかったことを受け、弁護士で構成する外部調査委員会に追加の調査を依頼すると発表した。全物件の不備を調査する過程で、2月に仕様と異なる部材を使っていたことを確認していた。レオパレスは6月中旬までに国土交通省に原因を報告する必要があり、その時期までに調査委は原因など一定の調査結果をまとめる。

レオパレス「3度目の経営危機」に襲われた必然






















施工不良問題でリーマンショック以来の最終赤字に転落したレオパレス21(撮影:風間仁一郎)

「昨年からの当社施工不備の問題を受けて関係各位に大変な迷惑をかけている。あらためてお詫び申し上げます」

5月29日、外部調査委員会が最終報告書を提出した後に開いた記者会見の冒頭、レオパレス21の深山英世(みやま・えいせい)社長はそう言って、頭を下げた。

賃貸アパート大手のレオパレス21が経営危機に陥っている。

5月10日に発表した前2019年3月期決算は売上高5052億円(前期比4.8%減)、営業利益73億円(同67.8%減)。

施工不良問題に伴う工事損失引当金547億円に加え、減損特損や空室損失引当金がかさみ、純損益は686億円の赤字(前期は148億円の黒字)に転落した。リーマンショック直後の2010年3月期に計上した790億円の赤字に次ぐ水準となる。

2015年3月期以来の無配に転落


巨額の損失で、繰越損失が発生し2015年3月期以来の無配に転落した。監査を担当する太陽監査法人は、レオパレスの企業としての継続性について「重要な問題がある」と、疑義注記の一歩手前の継続前提の重要事象をつけた。

レオパレスは昨年から数回にわたって建築した賃貸アパートに施工不良があったと発表。天井裏や屋根裏に住戸間を仕切る界壁(かいへき)がなかったり、天井部材が耐火性能を満たしていなかった、認定されていない部材で壁が施工されるという建築基準法違反が発覚。その他多くの物件では界壁に隙間があるなど施工不良が存在した。

現在、同社は1991年以降に施工した賃貸アパート全3万9085棟の調査を進めている。4月末時点で施工不良が多発している物件(レオパレスの説明では優先調査対象シリーズ)1万5283棟のうち1万3641棟(89%)の調査を終了。問題が少ないと見られる残りの2万3802棟では7636棟(32%)の調査を終えている。

国土交通省によれば、このうち建築基準法違反のものは2949棟(3月末時点)。軽微なものも含めれば4月末時点で不備のある物件は1万5628棟と膨大な件数に達した。


5月29日、外部調査委員会の後の会見でレオパレスの深山社長(中央)は深々と頭を下げた(撮影:風間仁一郎)

一連の施工不良は、レオパレスと対立するオーナーで組織された「LPオーナー会」(以下LP会)の調査とテレビ番組の報道がきいかけで明らかになった。

従前からレオパレスの賃貸アパートには「壁が薄くて、隣の声が筒抜け」など不良物件のうわさがくすぶっていた。当初は「業績に影響がない」としていたにもかかわらず施工不良の物件数が日を追うごとに膨れ上がっているなど、経営体質そのものを問う声が広がっている。

今回で3度目の経営危機


実はレオパレスの経営危機は今回で3度目だ。最初はバブル崩壊だった。同社は1973年に創業。自社で不動産を取得し、節税目的の投資家に分譲アパートを販売するビジネスモデルで1989年に上場を果たした。ところが税制改正とバブルの崩壊で節税需要が急減、アパート建築の解約が相次ぎ、深刻な経営危機に陥った。

そのため1993年ごろから、自社で不動産を保有せず、地主に賃貸アパートを建てさせる建築請負事業と、建てたアパートを一括で借り上げるサブリースが主軸の事業構造に転換した。
さらにリーマンショック後にはアパート建築請負を大幅に縮小。現在はサブリースで借り上げる57万戸のアパート管理をビジネスの主体にしている。年間150億~200億円の営業利益を安定的に稼ぎ出し、2016年3月期にやっと復配にこぎ着けた矢先に、今回の施工不良が発覚した。
施工不良があったアパートを所有するあるオーナーは、20年ほど前にレオパレスとアパートの建築と借り上げの契約を結んだ。「当時は、周辺相場より2割近く高い家賃を払ってくれた。客付けもして、管理までしてくれる。建築価格は高かったが、こんなに楽なことはないと思った」と言う。
1990年代前半、レオパレスが賃貸アパートに参入した時点では、大東建託や積水ハウス、大和ハウス工業といった大手がすでに幅をきかせていた。そのため同社は大手が手がけていない、単身者向けアパートに的を絞った。建築費用を高めに設定する一方で、相場より高い一括借り上げ家賃を設定することで、初期投資は高くても、高い借り上げ家賃を武器に地主へ営業攻勢をかけたのだ。
こうした戦略が奏功し、同社は経営危機を脱し、賃貸アパート業界の上位に躍り出た。「賃貸アパートのプランの見積もりを頼んだら、翌朝には持ってきた」(前出のオーナー)という、積極的な営業攻勢で鳴らしたのは主にこの時期のことだ。

リーマンショックで社宅需要が急減

だが、こうした拡大路線は2008年のリーマンショックで暗転した。単身者向けアパートを展開するレオパレスにとって、今も昔も最大のお得意様は、社員向けの独身寮用として入居してくれる法人顧客だ。
だが、最大顧客の自動車メーカーや電機メーカーはリーマンショック後の需要急減を受けて、軒並み期間工や派遣社員の雇用を打ち切る「雇い止め」を実施した。
レオパレスにとっては、こうした法人利用が急減して受取家賃が減った上に、オーナーに対しては相場より高い借り上げ家賃を支払い続けなければならなかった。その結果、受け取りと支払いが逆転する「逆ザヤ」となり、2010年3月期は営業赤字に転落。巨額の空室損失引当金のために、790億円の最終赤字を計上した。
そこで踏み切ったのが、多くのオーナーに対して支払い家賃を減額し、借り上げ契約を解除するという、いわゆる「終了プロジェクト」だ。会社側の見解はあくまで「(オーナーとの)合意の上で、周辺相場の家賃水準にした」というものだが、多くのオーナーにとってはこの家賃減額交渉はトラウマに近い傷を残した。そして、この時の反発が前出のLP会の発足に結び付いていく。
今回、問題が多発している賃貸アパート「優先調査対象シリーズ」は最初の経営危機後の1994年から2005年にかけて販売された商品だ。
5月29日に外部調査委員会が公表した報告書によれば、レオパレス創業者の深山祐助・元社長(深山英世社長のおじ)が、バブル崩壊後の経営危機を乗り切るために、賃貸アパート建築のコスト削減や工期短縮のために、商品開発の現場に介入してさまざまなアイデアを出した。
深山祐助自身は建築士の資格を持っていなかったが、その豊富なアイディアから「特級建築士」を自称していたという。
だが調査報告書は、深山祐助氏のワンマン経営がまかり通る状況で、歯止めをかけられる人物が存在しなかった点に問題があると指摘する。

ワンマン体制や慢性的人手不足が法令軽視に

賃貸アパート業者の場合、建築部門の粗利益率は2~3割と、賃貸管理部門の1~2割を大きく上回る。30年超の長期にわたってオーナーからアパートを借り上げる契約を結ぶ代わりに、自社でのアパート建築が条件となっており、その分利益を乗せやすいためだ。

レオパレスの外部調査委員会は、ワンマン経営に歯止めをかけられなかったことが問題につながったと指摘した(撮影:風間仁一郎)
レオパレスもピークだった2007年3月期には、建築請負部門は売上高3161億円に対し、営業利益746億円を稼ぎ出している。こうした儲かる建築請負事業の拡大が優先され、深山祐助氏のワンマン体制や慢性的な人手不足もあり、行政に出す建築確認申請と実際の建物の仕様が違ったり、建築基準法への準拠といった確認がおろそかになっていた。
調査報告書では、施工不良に気づく機会が何度かあったが、その都度見逃されてきたため、全社的に順法意識やリスク感度が低かったと厳しく指弾している。
そして、深山祐助氏の責任については、違法行為を指示・命令した事実までは認められないとしたものの、「厳しい経営環境から脱却すべく収益の確保を重視し、物件数の早期拡大に重点を置き、十分な商品開発体制、施工管理体制及び工事監理体制を整備すること等を怠った」と指摘した。
当時の経営判断がこうした状況を招いたことについて深山祐助氏は調査委員会のヒアリングに反省の弁を述べたほか、レオパレスを退任した後に創業し、同社とほぼ同じ事業を展開するMDIについても、取締役を3月28日に辞任している。
今回の事件を機にレオパレスは経営陣を一新する。深山英世氏のほか、社内取締役8人のうち7人が退任し、後任には宮尾文也・取締役が社長に昇格する。宮尾氏は北海道地盤の中道リース出身。レオパレスのグアムのリゾート開発にかかわり、その後同社の経理や経営企画、広報を担当し、現在に至っている。
宮尾氏は東洋経済の取材に対し、国交省の指示通りに夏前までに優先シリーズの補修工事を、10月までに全棟の補修工事を完了させ、「今期中に施工不良問題を収束させる」と明言した。
施工不良問題に片が付けば、空室となっている物件の募集も再開できる。レオパレスは入居率を2019年3月末の84.33%から2020年3月末までに90%弱の水準に戻し、今2020年3月期に売上高5022億円(前期比0.6%減)、営業利益22億円(同70%減)、純利益は1億円の黒字化(前期は686億円の赤字)を見込んでいる。

手元流動性に余裕はない

ただその道のりは険しい。4月末時点で改修着工済みが4342棟、改修済み800棟と、不具合のあった物件全体(現時点で1万5628棟)からすれば、改修の進捗は遅れている。
もう1つの懸念が資金繰りの問題だ。同社の2019年3月末時点の連結貸借対照表では、現預金から有利子負債を引いたネットキャッシュが約500億円ある。ただし、補修工事関連の引当金も約500億円を計上しているため、工事が進めばキャッシュアウトしていく。単純に計算すればネットキャッシュはゼロになる。
この点について宮尾氏は「人件費や広告費の抑制でキャッシュアウトを抑え、自社保有の賃貸用マンションなどを売却することでキャッシュインを増やす」と説明するが、手元流動性に余裕があるとはいえない状況だ。
旧村上ファンド系のレノや共同保有者が株式を買い集め、5月16日時点で16.18%握る筆頭株主に浮上。「村上世彰氏は単身世帯向けアパートの需要は手堅いと見ている」(関係者)。一方で、宮尾氏は「個別の株主の動向については言及できないが、どんな株主とも対話はオープンマインドでやっている。誰とでも対話をするつもりだ」と言及するにとどめた。
また、調査委員会は過去の経営陣の責任を認めているが、レオパレスが会社として責任を追及するかどうかについて、「調査報告書を受け取ったところで内容を精査し、要否を検討する。(検討のメドについても)期限は答えづらい」(宮尾氏)と判然としない。
3度目の危機を乗り切るためには、問題物件の改修だけでなく、経営陣の責任の所在を明らかにすることが必要だ。この点について宮尾氏はどのように答えを出すのか。株主総会が迫る中、やや不安の残る船出と言えそうだ。

レオパレス外部調査委「虚偽の記載で証明書取得」










































レオパレス外部調査委「虚偽の記載で証明書取得」
 レオパレス21の施工不良問題で外部調査委員会が最終報告書をまとめ、建築基準法への適合が確認されたことを証明する書類を「だまし取っていた」と認定しました。

 外部調査委員会・伊藤鉄男弁護士:「虚偽の記載をして確認済証をだまし取っていた事実が認められる」

 報告書によりますと、レオパレスは天井裏に壁を作るつもりがなかったのに自治体に嘘の申請を行っていました。問題の原因は創業者・深山祐助元社長の「ワンマン体制にあった」などとしたうえで、現在の経営陣にも「リスク管理に不備があった」と指摘しています。レオパレスは経営陣を刷新して信頼回復を急ぐ方針ですが、新たに63棟で耐火構造に問題が見つかり、施工不良は1万5000棟を超えています。

旧村上ファンド系、レオパレス株を買い増し

2019/5/17 16:36

旧村上ファンド系の投資会社レノがレオパレス21(8848)株を買い増したことが17日、分かった。レノが関東財務局に提出した変更報告書によると、共同保有分も含めた保有比率はこれまでの7.93%から10.32%に上昇した。

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