2019年10月の消費税10%が目前に迫ってきました。軽減税率の導入などにより、2014年の消費増税のときより、今回の増税による家計への負担は少ないという試算が出されていますが、個々の家庭で、今から家計防衛できることを知っておきましょう。

増税前に、日頃の買い物行動を見直し、家計変動を防ぐ

個々の家庭において、収入、家族構成などの違いによって、消費増税の影響は変わってきます。キャッシュレス決済による還元策なども話題になっていますが、今もって、明確にこうすればオトクという方法が一般には普及していません。

しかしながら、確実に、10月1日には消費税が上がるのですから、今から個々の家庭でできる家計防衛策を考えておくべきでしょう。

消費増税でもっとも家計に影響があるのは、日々の生活にかかわるもの。

総務省の家計調査(2019年2月公表。二人以上の世帯のうち勤労者世帯)の1カ月の消費支出は31万5314円。単純計算で、そのうち消費税は2万3189円。これが消費税10%になると、消費支出は31万8854円で増税分は5797円ということになります。年間で約7万円の増税となります。

ただし、日常生活にかかわる食品については、軽減税率の適用を受けるため、ここまでの増税にはならないでしょう。

一方、大型家電や家具など一度にまとまったお金が出ていく支出については、増税前のセールなどの文言に惑わされることなく、本当に買い換えが必要なものだけにとどめるほうが得策でしょう。増税後は買い控えなどが起こり、増税前よりも価格が安くなる可能性もが十分あるからです。

家計管理をしっかりしているつもりでも、増税前後の消費で、家計が大きく変動することは避けたいものです。

増税を控えた今、まずやっておきたいのが、日常の支出と年に数回ある特別支出についての洗い出しです。日常の買い物行動で、不要なまとめ買いをしていないかチェックするいい機会と捉え、家計管理の整理をしておくようにしましょう。

まとめ買いは最小限に。通信費や保険料などの見直しが先決

節約できることがわかっているのに、通信費などの契約の見直しなどは、消費増税にかかわらず、後回しにせず、やっておきたいものです。

特に、増税前に駆け込みで軽減税率対象外の酒類、トイレットペーパーなどの日用品を大量に買い込んでも、それでトクする金額はいくらなのかと考えると、数百円の節約のために血眼になるぐらいであれば、他で節約できることを実行したほうが、数段オトクになるはずです。

毎月必ず出ていくお金、通信費、水道光熱費の見直し、国民年金や保険料などのまとめ払いなど、一度見直しをしてしまえば、節約効果が持続することを優先しましょう。

また、今加入している保険の見直しをすれば、節約効果が高い家も、まだまだ多くあります。保障が多すぎないか確認し、多ければ解約、新規加入し直しすれば、それだけで、増税分の元は取れる場合もあり、本来、家族のライフステージが変われば見直しすべきです。この機会に、保険内容を確認してみてください。

今回の増税前に住宅購入を決断した家庭も少なからずあると思いますが、住宅ローンを借りる際には、団体信用生命保険に加入することになります。住宅ローン分は、団体信用生命保険で、カバーできるので、多くの場合、現在加入している生命保険の保障を減額することができます。そうしたことも、忘れずに実行するようにしましょう。

年に数回の支払いがある特別支出は別口座で管理する

年に数回ある「特別支出」については、本当に今、必要な家具・家電なのか購入時期の見極めが大事ですが、それ以上に、計画的に支出する口座を別枠で設けているかがポイントになります。

確かに大きな出費の買い物なので、消費増税前に買い換えをしたい気持ちもわかりますが、雰囲気に流されて買ってしまうのは、衝動買いと同じ。予定していた買い換えを前倒しで買う以外は、冷静に判断するようにしたほうが賢明です。

特に、電子機器類は新製品のサイクルが早く、本当に必要な機能があるのかどうかは増税とは関係ないからです。新製品の方が性能がよく、ニーズを満たしていたとしたら、増税分はあまり意味のないことになってしまいますし、新製品の発売後に、型落ちの製品が安くなることは、往々にしてあります。

そのことを理解したうえで、まとまった金額の支出については、日常の口座と分けて特別支出用の口座を作っておけば、増税前後で毎月の家計費が大きく変動することも避けられます。

今年のゴールデンウィークは10連休と大型連休で、予定外の出費をした家庭もあるでしょう。日々の家計とは別に、予備費として口座管理しておくことが大切です。消費増税はまったなしですが、くれぐれも余分な買い置きなどせず、増税分を取り戻せるぐらいの家計見直しを実行してみてください。
(文:伊藤 加奈子(マネーガイド))