いつも使っているお金。でも使い方をちょっと工夫するだけで満足度や幸福感がぐっと高まるかもしれません。「幸せになるお金の使い方」を4つ、ご紹介します

とある仕事でボツになった「幸せになるお金の使い方」

とあるテレビ番組の出演依頼があって打ち合わせをしたのですが、出演はボツになってしまいました。共演者の得意分野や番組の編成方針とかみ合わなかったからなので、これは仕方ないことなのですが、せっかくネタ出しをしたのにちょっともったいないなと思い、お蔵だしをしてみたいと思います。

お題は「幸せになるお金の使い方」です。

私たちがあまり自覚せずに消費しているお金の使い方は、4つのポイントで考えてみると、きっと幸福度合いが増してくるのではないか、と思います。

幸せなお金の使い方その1:100円でもいい「感動」のあるお金の使い方をする

最初のカギは「感動」です。「感動」といっても人生を変えるような大げさなものではなく、「ちょっとトクした、ラッキー♪」とか「うわ、これ美味しい!」のような小さな感動を持つということです。

村上春樹さんはこれをコラムの中で「小確幸」と呼んでいますが、小さな幸せを集めることができる人は、時々大きな幸せを買い集める人より満足度は高いと思うのです。

といっても難しい話ではありません。コンビニの新商品のお菓子やスイーツだったり、クーポンアプリやキャンペーンのポイント10倍還元のようなものを素直に「喜ぶ」ことで、小さな「幸せポイント」も貯まるのです。

そのために必要なのは好奇心です。コンビニの棚から新商品を見つけたり、アプリのクーポンをチェックしてお得な割引情報を見つけるような好奇心が必要です。

また、「初体験」の喜びは感覚的に大きいので、新商品のお菓子や飲み物を試してみたり、新しいお店に出かけてみるほうがルーチンワークで買い物するよりあなたを幸せにしてくれたりします。

幸せなお金の使い方その2:惰性の買い物を「切り捨てる」

次に考えてみたいのは「切り捨て」です。無駄な消費を切り捨てることができればその分お金が貯まります。

しかしガマンを強いる節約では幸せ感はありません。そこで「無感動消費」を切り捨ててみます。無感動消費というのは、お金を払っても何の感慨もなくお金が減っているような買い物のことを意味します。

私たちは惰性で買っている消費がたくさんあります。当たり前のように習慣として買っている買い物、ありませんか? その何割かは止めても誰も困らないし、自分自身も困らないなら、まさに惰性でやっている無駄な買い物です。

それは例えば、ダラダラ食べているお菓子だったり、ほとんど目を通さない雑誌だったりします。逆に、全ページくまなく読む雑誌や、自分にご褒美としてあげる買い物(そして買い物の喜びに満足している)ようなものはダラダラ消費ではありませんので、切り捨てる必要はありません。

買い物のたびに自問自答してみてください。けっこう、無感動消費があるものです。使わなければそのまま貯金額が増えることになるでしょう。まさに幸せです。

幸せなお金の使い方その3:世の中を良くする会社に「投資」する

3つ目のステップは「投資」です。といっても短期的な上下動ではなく、長い目で見た成長にお金を投じてみるような投資を考えてみます。

あなたが「これは!」と思う企業を応援するような気持ちで株式投資をし、その企業が成長して株価が上がったり配当金がもらえたとすれば、これは企業は大きくなり、世の中には役立つ商品が出回り、自分の財布も暖まるという「三方皆幸福」になります。

新興国の株式会社に投資をしたら、新興国の人たちが経済発展で幸せになり、あなたも株価の上昇で儲かる、というとうまくできたウソみたいですが、実際には投資で実現可能なことです。

そう思ってみると、株式投資も幸せをあなたに引き寄せるひとつのファクターとなりえます。投資というのは本来、企業の成長にお金を投じ、その対価として配当や株価の上昇益を受け取るものです。ズルいことでも悪いことでもないのです。

また企業が株主に行う配当は、年1.5~1.6%にもなります(日本株の場合)。業績によって配当額も変わりますし、株価は変動するため利率は不確定ですが、超低金利の定期預金よりは高い可能性が大です。

株主優待も魅力のひとつです。投資から得られる「幸せのお裾分け」が配当や株価の値上がりの利益だと考えてみるといいでしょう。

幸せなお金の使い方その4:実質負担6割で還付金を「寄付」してみる

最後の幸せは「寄付」です。ただしふるさと納税よりは純粋な寄付をオススメします。

ふるさと納税は、今住んでいる地域に納めるべき税金を他の都道府県や市区町村につけかえることで、お礼の品をもらう仕組みになっていますが、これは今住んでいる地域の財源を削って、代わりにあなたがお肉やフルーツをもらっているようなものです。本質的には「幸せ」とは言えないと思います。

むしろ活動が公的に認められている団体に寄付をすることで、「あなたが納税→国が各団体に助成金を出す」というような流れを省略して「あなたが寄付→その分、国が納税額を減らす」ということができます。

つまり、活動内容に賛同して応援したい団体に、直接税金の一部を届けることができるのです。見返りはありませんが、幸福という意味では満足度の高い行為になります。

はやぶさの活動に感動した人なら、JAXAはいつでも寄付を募っています。はやぶさ2号の一部の部品はそうした寄付で作られています。

海外の貧困問題や教育問題の手助けをしたいのであれば、国連のWFPなどに寄付をすることで、日本にいながら難民問題や飢餓の問題の手助けをできます。

こうした寄付について「寄附金控除の対象です」と明記されている団体であれば、寄付をしたあと確定申告をすれば「(寄付金額-2000円)×40%」の額が税負担から軽減されます(税額控除を使った場合)。ざっくり実負担が6割で、4割分を税金のほうから寄付団体に振り替えてもらう、というイメージです。

無理に高額の寄付をする必要はありませんので、年末調整の還付金で戻ってきた数万円くらいでクリスマスに寄付をしてみてください。誰かの幸せな顔を思い浮かべて自分も幸せな気分になれる、というのはもっとも尊い「幸せの買い物」ではないでしょうか。

ちょっとしたお金の使い方で私たちは幸せになれる

ここでは4つのヒントを紹介してみましたが、実はちょっとした買い物のやりかたで、私たちは幸せ感をもっと高めることができるのです。

iPhoneを買い換えるのも、自分を徹底的に焦らして「待ちに待っていた!」と思うのと、「まー、2年たったし買い換えるか」とどうでもいいような気分で行うのではまったく感動は違ってきます。

うまく自分を焦らすのも工夫のしどころです。あえて自分にガマンをさせてみるのもいいかもしれませんね。

感動がないなあと思ったら、買い物のやり方やお金の使い方を見直してみてください。
(文:山崎 俊輔(マネーガイド))