老後に必要なお金、かかるお金は一体いくらの資金が必要なのでしょう?

老後にかかるお金は? 必要と考える老後資金5000万円超が約1/3

2019年6月にマネックス証券が顧客9618人(20代以下284人、30代1525人、40代3666人、50代4033人、60代以上110人)を対象に行った「『老後2000万円不足』問題アンケート調査」によると、必要な老後資金は5000万円超と考える人が41%。1001万円~2000万円はわずか9%です。

詳しく見ていきましょう。

▼老後資金に必要な金額は?トップは5000万円超の41%、次いで3001万円~5000万円が30%です。

・0円:3%
・1円~500万円:1%
・501万円~1000万円:1%
・1001万円~2000万円:9%
・2001万円~3000万円:15%
・3001万円~5000万円:30%
・5000万円超:41%

▼現在の資産の運用と貯蓄(銀行預金)の配分は?トップは「貯蓄の方が多い」で34%、次いで「運用の方が多い」31%、「半々」25%と続きます。

・貯蓄のみ:4%
・貯蓄の方が多い:34%
・半々:25%
・運用の方が多い:31%
・運用のみ:6%

▼運用している金融商品や利用している投資制度は?(複数回答・トップ5)トップは日本株で7割を超えています。NISAは3位、iDecoは5位です。財形貯蓄も1割強が利用しています。

・日本株:73.6%
・投資信託:45.0%
・NISA:40.4%
・定期預金:26.3%
・iDeco:19.7%

▼人に進めてもよいと思える金融商品または投資制度は?(複数回答・トップ5)トップはNISAです。iDecoと日本株がそれに続きます。iDecoは、導入されてそれほど時間が経過していないので、これからは増えていくと思われます。

・NISA:48.8%
・iDeco:36.6%
・日本株:35.2%
・投資信託:34.1%
・米国株:20.0%

老後に必要なお金はいくら? 65~90歳に必要なのは約1800万円

では、退職後の生活費として公的年金以外に必要とする金額を、「家計調査報告(家計収支編)―平成30年平均速報結果の概況―」(総務省統計課)の高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計収支をもとに計算してみましょう。

・ 収入……22万2834円(うち社会保障給付は20万3824円)
・ 消費支出……23万5615円
・ 非消費支出……2万9092円
・ 収入-支出=▲6万883円

社会保障給付=公的年金等とすると、毎月の公的年金では不足する金額は「社会保障給付-(消費支出+非消費支出)」=20万3824円-(23万5615円+2万9092円)=▲6万883円です。

65歳リタイア後25年間(=90歳)に必要な生活費は約1800万円、30年では約2200万円になります。

▼老後期間25年(65歳以降)6万883円×12カ月×25年=1826万4900円

▼老後期間30年(65歳以降)6万883円×12カ月×30年=2191万7880円

60歳リタイアの場合、必要な老後資金は3000万円

60歳でリタイアする場合、90歳までの老後資金は、高齢無職世帯(2人以上の世帯で世帯主が60歳以上の無職世帯)は約3000万円、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)は約1700万円です。

65歳リタイアに比べ、必要な老後資金が大幅に増えるのは、「60~64歳の公的年金ゼロと一部支給」や「老後期間が5年間長い」の影響です。

▼高齢無職世帯生活資金だけで3000万円が必要です。

・社会保障給付……18万8195円
・消費支出……23万9934円
・非消費支出……2万9856円
・収入-支出=▲8万1595円
→ 老後期間30年(60歳以降)……2937万4200円
→ 老後期間35年(60歳以降)……3426万9900円

▼高齢単身無職世帯高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の90歳までの老後資金とほぼ同じです。

・社会保障給付……11万5059円
・消費支出……14万9603円
・非消費支出……1万2392円
・不足分……▲4万6936円
→老後期間30年(60歳以降)……1689万6960円
→老後期間35年(60歳以降)……1971万3120円

90歳まで生きるために必要な老後資金は、リタイアが60歳の場合は3000万円、65歳では1800万円程度です。65歳でリタイアすると、一般的にいう「老後に必要な資金は3000万円」より1200万円も少なくなります。

老後資金3000万円と「改正高年齢者雇用安定法」

一人歩きしている「老後資金3000万円」は、「60歳で定年退職して平均余命(生存率約50%)の年齢(=男性83.84歳、女性89.04歳)まで生きる」+「予備資金(住宅のリフォームや医療・介護費用、子どもへの援助費用、葬儀費用など)」を想定した数字です。

前出の計算は、「65歳でリタイアし90歳(生存率約25%)まで生きる」ケースです。

老後資金を3000万円とすると、「生活資金1800万円+予備資金1200万円」になります。

因みに、65歳でリタイアし平均余命まで生きる場合の生活資金は370万円少ない1400万円程度です。

*60歳の平均余命は、平成30年簡易生命表によると男性23.84年、女性29.04年
*65歳の平均余命は、平成30年簡易生命表によると男性19.70年、女性24.50年
*生存率は、出生数10万人がその年齢で何人生存しているか、という割合

原則65歳までの継続雇用を企業に義務づけた「改正高年齢者雇用安定法」の施行から5年が経過した2018年6月1日、定年退職到達者の継続雇用は84.4%、継続雇用を希望しなかった人が15.4%、希望したが継続雇用されなかった人はわずか0.2%です。

希望すればほとんどが雇用される状況です(「平成30年「高年齢者の雇用状況」集計結果」厚生労働省)。

2018年の60歳以上の雇用者数は363万人、常用労働者の約12%を占めるまでになりました。内訳は、60~64歳が約206万人、65~69歳約110万人、70歳以上約46万人です(同集計結果)。近年は65歳~69歳の伸びが目を引きます。

政府は定年後60~65歳の継続雇用を企業に義務付けていますが、更に65~69歳の継続雇用を努力義務とする「高年齢者雇用安定法改正案」を2020年の国会に提出する予定です。「リタイアは70歳」という時代が現実のものになりつつあります。

リタイア年齢が遅くなるということは、「老後期間が短くなる=必要な老後資金額が減る」ということです。将来は一生涯現役となり、「老後資金」という言葉はなくなるのかも知れません。
(文:大沼 恵美子(マネーガイド))