九州に拠点を置くミスターマックスが堅調だ。2019年2月期の営業収益1185億円(前年比100.2%)、営業利益25億円(同100.7%)とともに微増であるが、18年2月期に続き、2期連続の増収増益。今期に入って、3月以降、6月まで毎月の既存店伸び率100%以上を維持している。異例の長さで低温と降雨が続いた7月は前年を割り込んだものの、非食品を主力とするフォーマットにおいて、ホームセンター(HC)はもちろんバラエティストア、衣料品チェーンでも既存店売上高を伸ばし続けるチェーンはまれだ。

発祥は福岡で始めた家電量販店

 1980年代にディスカウントストアを志向、約2000坪の売場面積に食品以外の実用品主力に多店舗展開を開始。購買頻度の高い品種に絞った商品構成、開発商品を軸にした低価格は当時、ディスカウントストアのチェーン化に最も近い企業ともいわれた。
 自店を核店舗とした「ハイパーモールメルクス」の名前でショッピングセンター(SC)の開発も手掛け、近隣型ショッピングセンター(NSC*商圏人口2~3万人)と広域型ショッピングセンター(RSC*同10万人以上)の間の中商圏を対象としたコミュニティショッピングセンター(CSC*同5万人前後)を展開した。
 90年代後半には関東に進出。地場のスーパーマーケット(SM)を第2核店舗に入れることで地域の来店頻度を高めるSCを開発した。同社の売上総利益率は21.7%。最近10年でみても増減はほとんどない。
 売上高、店舗数も出退店があるが50~60店で推移。店舗フォーマットではお膝元の九州は小商圏を狙った小型タイプのセレクト、大商圏のスーパーセンターを手掛けるが数は大きく増えていない。

HC、SMの商品をラインロビング

 ただし、食品構成比が大きく伸びた。10年前(2008年3月期)の構成比は18.5%。以降、毎年、1割前後の伸びを続け、14年3月期には30%を超え、現在までも伸びは継続、19年は34.2%となった。
 部門別売上げの推移では非食品分野で最大構成比(21.0%)のHBC(紙類・洗剤・化粧品)が横ばい。次いで同社発祥の部門であり、テレビのPBを手掛けるなど強化部門となっている家電だが、需要の上下動が大きい分、横ばい。その中でペット、カー用品、園芸・DIYを指す「ライフスタイル」が伸びている。
 こうしてみると、ドラッグストアと対抗する部門では苦戦、逆にHC、SMから奪う部門は伸長中。つまり、他業態からの奪取が同社の売上げ構成の現状をつくっている。
 消耗頻度の高い日用品、軽衣料、一般食品、家電などこうしてみると全てがネット通販の対象になるものばかり。
 ただし、防虫関連、冷風機など季節性を備えた商材を1フロア2000坪の売場両翼(各入り口の先頭)に配したレイアウトにし、回遊するだけで品揃えを一覧できるのは総合ディスカウントの利便性。ウォルマート、ターゲットなど本格的なディスカウントストアを志向し続けてきた同社の原則が奏功しているといえる。
 今後、このレイアウトを確保できる物件への出店が厳しいのも事実。総合スーパーなどが撤退したSC内への居抜き出店パターンも出てくる。実際、最近の首都圏の新店2店があてはまる。しかも売場面積は1000坪前後となっており、売場面積、部門構成比に応じたレイアウトのアレンジが課題になるだろう。