「明日でも良いことは明日に延ばそう」……これは書き間違いではありません。好きなものは最後に食べるのではなく、好きなものこそ最初に食べるのです。

明日できることは明日に延ばし、やりたいことを今日やろう

私たちの時間は有限です。だから今日は今日必要なことをやる。自分にとって大切なことから手をつけて、今を楽しもうとすることです。充実した今日の積み重ねが人生を作るのですから、今できることを優先してやる、ということです。

「太く短く生きるより、細く長く生きるのが良い」と言われますが、人は人生の長さを自分で決めることはできません。長く生きたいと思っても、不慮の事故や病気で死んでしまうと、細く短くという人生に終わってしまうかもしれません。

だからこそ、やりたいことを先送りしてはいけないと私は考えるのです。

もちろん、明日死ぬかもしれないといっても、毎日面白おかしく遊んで、給料や貯蓄を使い果たすその日暮らしの生活を勧めているのではありません。

そもそも生きるか死ぬかという瀬戸際に立たされるような局面は、私たちの日常生活での確率からすると非常に低いわけですから、ものごとは全てバランスです。

また、受験生が遊びたいからと勉強をほっぽり出してしまうのも、それは現実逃避というものです。あくまでも自分に本当に必要だと思えることは先送りするのではなく、前倒しで実行するという姿勢を持とうということです。

明日でもいいことは、明日やればいいじゃないですか。今日は今日すべきこと、やりたいことがあるはずです。

多くの人は「時間がない、お金がない、忙しい」と言い訳をするが……

私を含めて多くの人は「時間がない、お金がない、忙しい」と言い訳し、「時間ができたら、お金が貯まったら、将来は、いつかは」と先延ばしにして、結局やらずじまいになってしまいます。

「今日できることは今日中に済ませる」という考え方が今の世の中心ですが、「できること」と「やるべきこと」は違います。

むしろ忙しいときの方が緊張感と集中力があり、物事を吸収したり処理したりするスピードが普段よりも格段に速くなります。ですから、忙しい今、やるのです。徹底的に今を贅沢に使いましょう。

悲観論者で有名な哲学者のショーペンハウエルは、

「青年期には体力があるが、お金がない」
「中年期にはお金があるが、時間がない」
「老年期には時間は余るほどあるけれども、健康に見放される」

というのが人生の構図だと言っています。

もちろん全ての人に当てはまるわけではありませんが、要するに、いつの時代でも100%ベストな環境なんてものはなく、時間やお金ができるのを待っていたら、いつまでたっても何もできないということです。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))