多忙な私たちにとって重要なのは「時間を生み出すための出費」です。しかし近年、企業はあの手この手で「時間を消費するために出費をさせる」商品・サービスを繰り出しています。無自覚に暮らしていると、時間を奪われていくことになります。

時間を生み出すための出費が重要な理由

多忙な私たちにとって重要なのは、時間を消費するための出費よりも、時間を生み出すための出費ではないでしょうか。

そのため、わが家でも毎週家事代行サービスの業者に掃除を頼んだり、ベビーシッターを利用したりしています。ウェブサイトの制作・修正は外注ですし、税務申告も外注することで、自分がやって価値が出るものだけに専念できるよう心がけています。

電車でスマホゲームをしている人は時間を奪われていく

一方、電車に乗ってスマホやタブレットを操作している人の画面を何気なく見ると、わりと高い比率でソーシャルゲームをしています。

ゲームに限らずレンタルビデオや映画、携帯オーディオ機器なども、全ては暇つぶしの道具です。最近ではSNSを眺める時間も多いという人もいるでしょう。ということは、多くの人は時間を生み出すための出費ではなく、時間を消費するために出費をしていると考えられます(ソーシャルゲームやSNSは基本は無料ですが)。

そういえば近年のマーケティング用語に「時間消費」「経験価値」というキーワードがあり、企業はあの手この手で「時間を消費するために出費をさせる」商品・サービスを繰り出しています。

ということは、無自覚に暮らしていると、企業の広告宣伝に洗脳され、無意識で「それいいな」とお金を払い、同時に時間を失ってしまうことになりかねません。

無意識に時間とお金を奪われないように

もちろんそれが良い悪いということではありませんし、時と場合によって「これが合理的な選択だ」と考えて判断しているのなら良いのです。しかし無自覚に暮らしていると、どうしても供給者の論理を刷り込まれてしまいます。

たとえば「うがいにはうがい薬」「洗顔には洗顔フォーム」を使うのは当たり前と考えている人もいると思いますが、むしろ体調によってはマイナスなこともあるでしょう。私はうがい薬は使いませんし、日常の洗顔もお湯で十分と考えています(女性が化粧品を落とすのはまた違うのでしょうが)。

そういったキャッチコピーももすべては企業がつくりだした常識です。そうしたものに時間とお金を奪われるのはもったいない。

そこでこれからは、「これは自分の時間を生み出す出費なのか? それとも時間を奪う出費なのか?」を意識して生活したいものです。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))