年末年始は一年でもっとも家族がゆっくりプライベートの時間を持てる時。忙しい日常ではおざなりになりがちな、相手を思いやる気持ちやねぎらう優しさを取り戻す時期でもあります。一方で、夫婦の危機を迎えるケースも少なくありません。

年末年始に訪れた夫婦の危機

年末年始は一年でもっとも家族がゆっくりプライベートの時間を持てる時。忙しい日常ではおざなりになりがちな、相手を思いやる気持ちやねぎらう優しさを取り戻す時期でもあります。

一方で、お互いが向き合う時間が持てるようになると、トラブルが生じる機会が増えることも事実。一緒にいる時間が長くなることで、つい相手に甘えすぎてしまうようです。

実際、年末年始のような少し長めの休暇中に夫婦の危機を迎えるケースも少なくありません。たとえば最近、「メルカリ離婚」した夫婦のエピソードがあります。

仲良し夫婦が「メルカリ離婚」に至るまで

結婚11年目のAさん(40代・女性)は、2歳年下の夫と二人暮らし。二人とも業界は異なるものの正社員として忙しく働いています。一見、仲良し夫婦に見えたAさん夫妻に離婚の話が持ち上がったのは、今年に入ってすぐのことでした。

きっかけは、年末の休暇を活用し、家の大掃除をかねてAさんがメルカリをはじめたこと。

「友人の結婚式でいただいた引き出物の食器や、お互いの実家から送られてきた雑貨、着なくなったブランドものの服など、家のなかを見渡すと意外と要らないものがたくさんあったんです」とはAさん。

会社の同僚の「お小遣い稼ぎになるよ」というひと言ではじめたメルカリでしたが、もともと不器用だったこともあり、商品の撮影や梱包に手間取るばかりのAさん。はじめは、なかなか思った通りにいきませんでした。

そんな妻の様子を見ていた夫が、なにげなく「オレも手伝おうか?」と言ったことから事態は急展開。デザイン系の仕事に就いていた経験もある夫は、カメラでの商品撮影の腕前もセミプロ級。結局、撮影にとどまらず取引の対応や梱包、配送の手配まで、「あなたがやったほうが早いから」と言って、Aさんはほぼすべての作業を夫に任せることにしたのです。

「あそこの衣装ケースに入っている商品、全部明日中にやっておいてね」などと夫に気軽にオーダーするだけで、自動的に結構なお金を手にすることができるようになったAさんが調子に乗るのは時間の問題でした。

年末ぎりぎりまで忙しく働いていた夫の貴重な休みまで費やして無謀なお願いを繰り返し、挙句に「友達の分までお願いされちゃった」と、出品数をさらに増やしていったのでした。

「もう、いい加減にしてくれないか」

夫がそう切り出したのは、年末年始のほぼすべてをメルカリの作業に費やし、自分の時間を持つことも許されなかった夫がインフルエンザに罹患したタイミングでした。

本来であれば夫の体調やメンタルを心配するところを、欲に目がくらんだAさんはあまりにも配慮に欠けた言葉を口走ってしまったのです。

「使えないなー。せっかく休みの間にコートとかブーツとか、冬物をいっぱい出そうと思っていたのに!」

それを聞いた夫は愕然としながら「やめないなら、オレが出ていくから。ひとりでやれば?」と、突き放すようにAさんに伝えたといいます。今までにない夫からの反撃を受けたAさんは、そこではじめて夫に甘えすぎてしまっていたことに気づいたのでした。

円満な夫婦が守っている3つのルール

夫婦とはいえ、もとは他人。甘えていい部分と、自立が求められる部分の両方があるのは当然です。しかも甘えていいのは、確固たる愛情があってこそ。相手を慈しむ気持ちを忘れて身勝手に甘えるばかりでは夫婦関係はうまくいくはずはありません。

これはメルカリに限った話ではなく、どんなことでも「甘えすぎない」「頼りすぎない」「面倒くさがらない」ことが、夫婦が円満な関係を築くために欠かせない基本のルール。離婚の危機を招かないためにも、「親しき仲に礼儀あり」は常に心がけておきましょう。
(文:岡野 あつこ(離婚ガイド))