無職の時も住民税は課税されるのか? 収入がなくても住民税が課されるのは主に4つのケースがあり、いずれの場合も現在の収入がない、あるいは少ないというのがひとつのポイントです。

無職の時の住民税は? 収入がなくても住民税が課税されることがある

収入がなくても住民税が課税されるのは、具体的に下記のようなケースが考えられます。

1. 失業中(あるいは転職期間中)
2. 会社を退職し専業主婦になった
3. 亡くなった
4. 学生やフリーターでアルバイトを掛け持ちしている

それ以外にも、所得税はゼロなのに住民税だけ課税されるといったケースも発生します。それぞれどのような理由で課税されるのか、順にその仕組みを解説していきます。

1. 失業中(求職中)でも住民税がかかる理由

失業中(あるいは転職期間中)とは、以前は就業していた人ともいえます。就業期間中は所得があったので、所得税や住民税もその所得の中から負担できます。

しかし、失業中だとその時点では収入がないので、住民税が課税されるとより負担が重く感じられることでしょう。

では、失業中でも住民税が課税されるのは、なぜでしょうか? これは、住民税が前年の所得に応じて課税される仕組みだからです。

例えば、2019年分の所得の状況に応じて、住民税が課税されるのは2020年度ということになります。逆から見ると、2019年は就業していたが、2020年は失業中(あるいは転職期間中)という場合でも、住民税の納税通知書が送られてくるのです。

2. 専業主婦になっても住民税がかかる理由

専業主婦でも住民税が課税される人とは、専業主婦になる前は会社に勤め、就業期間があったような方です。これは、失業中(あるいは転職期間中)のケースと同様、住民税が前年の所得に応じて課税されるからです。

例えば、専業主婦になる前年は正社員として勤務し、相応の所得があった場合は、住民税の納税通知が来る翌年には、前年の所得の状況に応じて課税されるということです。

一般的に、専業主婦になることは「扶養に入る」と表現されますが、扶養に入ったからといって税金がかからないわけではありません。専業主婦になる前年に相応の所得があった場合には、専業主婦になり、かつ収入がない状況の中で住民税が課されるのです。

3. 亡くなった人にも住民税がかかる理由

住民税は、亡くなった方にも課税されます。これも、住民税が前年の所得に応じて課税される仕組みであるためです。亡くなる前年に所得があれば、亡くなる年の1月1日の住所地の市区町村から課税されます。

例えば2018年12月15日に亡くなった場合、住民税は以下のように課税されます。

・2017年分の所得の状況に応じて、2018年度の住民税が2018年1月1日現在の住所地がある市区町村から課税(2018年6月から2019年5月まで支払うため、亡くなった後相続人が支払う)

・2018年1月1日~2018年12月15日の所得に対する2019年度の住民税は課税されない(2019年6月から支払わない)

2018年1月1日には健在だったものの、2019年1月1日現在では住所地がないことになるので、2019年度の住民税は課税されないというのがその理由です。

なお年の中途で亡くなった場合には、1月1日から死亡日までの所得の状況について、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に、所得税の申告と納税をしなければなりません。この仕組みのことを準確定申告といいます。

4. 学生やアルバイトでも住民税がかかる理由

学生やアルバイトでも住民税がかかるのは、たくさん働いている、もしくはアルバイトを掛け持ちしている、などの理由でアルバイト代が多額になるケースです。

勤務先は、正社員やアルバイトといった勤務形態に関係なく、給与の支払いがあったという実態を勤務者の納税地に報告することになっています。勤務者の市区町村は、それをもとに住民税を計算します。

例えば、アルバイト先がA社・B社・C社と3社あった場合でも、そのA社・B社・C社それぞれの給与の支払実態がアルバイト学生の居住している市区町村に報告されます。そのため、アルバイトの総額が市区町村の住民税課で把握されることになります。

その結果、1社では住民税の課税の対象外という場合でも、数社のデータが集約されることにより住民税の支払いが発生することがあるのです。

※2005年度税制改正でフリーター課税の強化が打ち出され、1カ所の勤務先からの給与(アルバイト代)が30万円超の場合には、勤務先が市区町村に勤務者の給与実態を報告することが義務付けられました。

また、マイナンバーの施行にともない、アルバイトを掛け持ちするなどといった状況の把握がより効率的になりました。

例えば、下記のようなデータが掛け持ち先のA社・B社・C社からすべて送られてくることになります。

そうすると、送られてきた市区町村は年間合計のアルバイト収入全体を把握することが容易になりますので、1社では住民税が課されない場合でも、数社合計では課される場合があるのです。


所得税ゼロでも住民税がかかることがある

所得税がゼロでも住民税が課税されるケースもあります。

所得税の計算の仕組み上では、所得から所得控除を引いたら残額が残らなくても、住民税の計算の仕組み上では、所得から所得控除を引いたら残額が残ってしまうような場合です。

これは、所得税よりも住民税の所得控除のほうが低く設定されていることが理由です。


▼例:パートで年収が103万円ちょうどの場合パートで年収が103万円ちょうどの人の例で解説します。

パートによる年収は「給与所得」という所得区分となりますので、給与所得控除という必要経費65万円を差し引いた後の所得は、38万円(103万-65万円)となります。この所得38万円から、所得税、住民税それぞれの所得控除(基礎控除、生命保険料控除、配偶者控除など)が引かれた金額に課税されます。


しかし表のように、所得税の所得控除より住民税の所得控除のほうが低く設定されています(生命保険料控除・地震保険料控除は上限額が記載されています)。 ここでは、説明を簡略化するために基礎控除しか対象にならないとしますが、

◇所得税の計算
給与所得38万円-基礎控除38万円=課税所得0円

◇住民税の計算
給与所得38万円-基礎控除33万円=課税所得5万円

……となり、所得の段階では38万円と同じ金額でも、所得税は課税されず、住民税だけ課税がされることになるのです(上記のケースでは特例があり、給与所得の場合、年収100万円以下であれば所得税も住民税も課されません※所得の種類や自治体によって異なりますので、詳しくは自治体にお問合せください)。

このように、所得税よりも住民税の所得控除のほうが低く設定されている仕組みにより、住民税の課税所得のほうが一般的に大きくなることを理解しておきましょう。
(文:田中 卓也(マネーガイド))