子どものお年玉は貯金させないほうがいい理由とは
子どものお年玉は貯金させないほうがいい理由とは
子どものお年玉は親が預かって管理するのが正しいか?
お正月といえばお年玉。子どもにとっては楽しみなボーナスですが、親戚の多い人にとっては出費がかさむ頭の痛い時期かもしれません。
それはともかく、お子さんを持つ人なら、自分の子どもにもお年玉をあげると思います。そこで今回は、子どものお年玉の使い道について、ひとつの提案をしたいと思います。
子どものお年玉は貯金させず全部使わせよう
それは、「貯金させず、全部使わせろ」というもの。つまりお年玉を何に使うかは子どもの判断に任せ、より満足度の高いお金の使い方を、本人の経験から学び取ってほしいということです。
もちろん、「今度出る新しいゲームソフトを買うために貯金するんだ」と子どもが自発的に貯金する分には構いません。それは子どもながらに「目的」があり、その目的を達成するために、今は何を優先させなければならないか、わかっているからです。
しかし中には、「お年玉はとりあえず貯金しなさい」と使わせなかったり、親がいったん預かって管理するという家庭もあるようです。
それがいけないということではありません。親が子どもの性格や個性を見て、それが適切だという判断であれば、それもひとつのしつけだからです。
でも、子どもが自分で使わなければ、「これは無駄だった」と痛みを感じることもない。「あといくらぐらい使えるな」と計算することもない。
小学校半ばくらいになれば、子どもは親に言われなくても、「あんなもの買うんじゃなかった」と後悔します。「あれを我慢しておけば、これが買えたのに」ということがわかります。
また、親が「あんなバカなものを買って」と思っても、子どもにとっては無我夢中になれるもので、創造力や集中力が育まれるものだったりすることもある。
お年玉管理は子どもの考える機会を奪ってしまいかねない
だから、必要以上に親がコントロールしようとする、レールを敷こうとするのは、子ども自身の考える機会を奪ってしまいかねない。
これは他の買い物についても同じで、親が「これにしておきなさい」と答えを出すのではなく、なるべく子どもに自分で選ばせる。子どもの意思を尊重し、子どもが自分で考え判断できる環境を与えることは、親の大切な役目ではないか、と私は考えています。
そうやって自分で自分のお金の使い方を考える経験を小さいうちから重ねることは、大人になってからの賢いお金の使い方ができる素地につながるのではないでしょうか。もちろん、年齢や子どもの性格などによって適した助言は異なると思います。
たとえば、小学校低学年のうちは、現金よりもプレゼントのほうがうれしいという子どももいるでしょう。
私自身も振り返ってみると、幼稚園の年長のとき小学館の雑誌「小学一年生」を、小1のときは「小学二年生」、小2では「小学三年生」がお年玉がわりでした。時代の違いかもしれませんが、当時はそれを(どちらかといえば付録を)楽しみにしていたものです。
しかし、それ以降は現金でもらうようになり、自分でプラモデルを買ったり(ガンプラが流行り始めた時期です)、釣り道具を買ったりしたのを、断片的にですが覚えています。でも親に、「お年玉は貯金しなさい」などと使い道を指示されたり制限された記憶はありません。
親に聞くと「子どもが3人もいて、そんなことを考える余裕はなかった」と言いますが、子どもの判断を尊重してくれていたということだと思います。
貯金好きな人=堅実な人は本当か
私の経験上、「貯金する人は堅実な人」なのではなく、有効なお金の使い方を考えることから逃げているだけであり、ただ「思考停止している人」だと感じます(車を買う、旅行に行くなどの目的があってする貯金は別)。
たとえば、「手持ちのお金を何に使えば自分の人生がブレイクするか」などと考えるのは、普通の人は何から手を付けていいのかわからず面倒くさいでしょう。
貯金で得られるものは安心かもしれませんが、そのお金を使ったら得られるであろう、様々な人生経験を積むことなく年月が過ぎるということで、人間としての深みにつながらないものです。
あなたの周りを見渡すと、ピンと来るのではないでしょうか。堅実に見える人は、案外つまらない人物であるということを。
とはいえ教育に正解はなく、何が正しいか間違っているかなんて、それは誰にもわからない。子どもに対するお金の教育についても同じで、親の価値観によって違い、子どもの個性によって違い、各家庭でそれぞれだと思います。
なので先に挙げた提案が正しいということではなく、自分の子どもがお金と向き合う機会をどう作るかの参考になれば、と思います。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))
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