お金を増やせる人とは、普通の人とは逆の思考と行動ができる人だ、というのはもはや聞き飽きたかもしれません。そしてそれは、就職や転職における会社選びにも当てはまります。

普通の人とは逆の行動でお金持ちになる!

お金を増やせる人とは、普通の人とは逆の思考と行動ができる人だ、というのはもはや聞き飽きたかもしれません。そしてそれは、就職や転職における会社選びにも当てはまります。本質的に優秀な人は、どこに行っても優秀だし、放っておいてもその優秀さを発揮し、認められるようになるものです。しかし、そういう人はごく少数。私を含めて多くの人の能力は、おおむね平均的で平凡なのではないでしょうか。では平凡な自分、何の特技もない自分が、会社で認められ、権限や高い報酬を手に入れるには、どうすればいいか。そのキーワードは3つ。

・ダサい
・未完成
・面倒くさい

1つ目の「ダサい」とはちょっと表現が良くないが、要するに注目度が低い業種業界・企業・部署で働くことを指します。有名企業や花形部署には、優秀な人が集まるので、当然、競争は熾烈です。そこへ参戦しても、平凡な私たちは埋もれるばかりで、昇進はおろか昇給すら遅れをとってしまうかもしれません。そこであえて、注目されない企業や古臭いビジネスを手がける企業、同じ社内ならば人気のない部署を選ぶ。そこはおそらく優秀な人材は少ないから、能力的には平均でも、相対的にはトップクラスになれる可能性が高いわけです。

私の友人に、大企業を辞め、中小企業に転職した人がいます。前の職場では特に目立たなかったですが、転職後はめきめき頭角を現し、1年後に部長、2年後には子会社の社長になりました。30代半ばの現在、年収3500万円で、社用車で通勤という身分になっているそうです。
彼は言います。

「僕は別に、特別な能力があるわけじゃない。あまり人気のない商品を手がけている目立たない会社だから、募集しても人が集まらず、人材に恵まれていなかったため、相対的に自分が優秀な社員になっただけなんだ」と。

能力がないというのはおそらく彼の謙遜で、そもそも能力がなければ今の位置にはなれなかったはずです。それでも前の職場にいる限り、彼が認められるチャンスは少なかったのでしょう。そこへあえて「ダサい」企業を選んだこの選択が、彼の人生を変えたのは間違いありません。

2つ目の「未完成」とは、新規事業に携わるとか、発展途上の組織で働くことを指します。既存組織は、仕事の進め方がほぼできあがっており、そこでは決まった仕事をこなす業務が大半になります。経営サイドとしては、人材の質に依存しにくいビジネスモデルとして望ましいことでも、働く側からすれば、会社の歯車になりやすいということを意味します。

これに対し発展途上の組織では、仕事の進め方にまだ標準がありません。決裁基準もあいまい。ということは、言った者勝ち、成功した者勝ちで、自分が業務のスタンダードを作ることが可能です。つまり、自分の提案や成功事例が採用される機会に恵まれやすく、それは当然、評価につながる。新興のネット企業などでは、20代で役員に登用されるケースも多いですが、やはりチャンスに恵まれやすいといういことではないでしょうか。

さらに新規事業であれば、ほとんどの社員がその領域に対しては知識も経験も乏しいため、全員が横並びのスタートとなります。ということは、仮に能力が平均でも、最初にダッシュして経験値を稼いだ者が抜きん出られる可能性が高まるわけです。

3つ目の「面倒くさい」とは、誰もやりたがらない業務を引き受けること。みんながやりたくないと思っているため、競合が少なく、イノベーションも起こりにくい。つまり旧態依然としていることが多い。これは、「少しの工夫で成果が出やすい」ということを意味し、ちょっとがんばれば、第一人者になれる可能性があります。おまけに、進んで汚れ仕事をする姿は、本人にさほど熱意がなくても「やる気がある人」と周りの目には映るでしょう。結果として、目立つ。社内の有名人になれれば、抜擢の可能性も高まるというものです。

「人の行く 裏に道あり 花の山」あるいは「鶏口となるも牛後となるなかれ」。

前者は有名な相場の格言、後者も有名な格言だが、いろいろな場面で応用できるはず。そこには、変革を起こしてあなたの評価を大きく塗り替える余地が広がっていると言えるのではないでしょうか。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))