シングルの人ほど国の年金を大事に考えよう
実は国の年金制度の破たん可能性は低くなってきている
国の年金制度といえば、高いお金ばかり引かれて、どうせもらえないと思っている人ばかりです。でも、最近は昔より雑誌やテレビで年金破綻を煽るニュースが減っていると思いませんか? 国が年金についてシミュレーションを徹底的に行ったのですが、その詳細結果が明らかになり、破たんする可能性はかなり低いことが見えてきたからです。
以前、年金運用で5兆円減ったというニュースもありましたが、これもアベノミクス以降30兆円以上増やして、ピークから5兆円減っただけで、純減しているわけではありません。
かつて年金破たん悪口を言っていた人も実は年金の破たんが起こりにくいことが分かってきたため、矛先を変え始めています。たとえば「年金の積立金はX年に枯渇し、破たんする」と脅していた人も、「国は15%ダウンというが25%下がる」というように表現を変えてきています。
マネーハック的に年金の話を少ししてみます。
頼りにならないと思っていると実は頼りになるしくみが「年金」
文句をいうのは自由ですが、実際に年金生活をスタートしてみると、一番頼りになるのは個人の財産より国の年金であることが分かります。国の年金はなんといっても定期的に振り込んでくれますし、使いすぎてゼロにする心配はありません。また、どんなに長生きをしようとも振込続けてくれるのも大事なメリットです。予想以上に長生きするとき、手持ちの現金はいつかゼロになってしまいます。長生きが「うれしい悲鳴」とならないための生命線は、実は国の年金なのです。仮に月16~17万円程度であっても、20年は平均的に想定される老後において受取総額は3840~4080万円です。これが95歳まで長生きし、30年ももらえば、5760~6630万円にもなるほどです。あまりにも金額が多くて信じがたいくらいです。
長生きの有無でこれだけ受取額が変化する制度は他にありません。民間の年金保険で終身給付を選択した場合、平均寿命と同じくらいの長生きでは赤字になりますし、将来のインフレをカバーしてはくれません(国の年金は100%カバーしないものの急激なインフレには対応してくれる)。
終身助けてもらえる価値は、独り身ほどありがたい
そして、この「終身」のサポートは独身者ほどありがたいものです。というのも、家族がある場合に使える「兄弟姉妹や子等の親族に助けてもらう」という選択肢が使えない独身者にとって、国が定期的に払い続けてくれる社会保障制度ほど助かるものはないからです。シングルライフにおいて、老後の支えの確保は実は難問です。医療費はもちろん、介護費用をどう確保するかは難しいテーマですし、医療費や介護費用の悩みは「いくらになるかまったく読めない」ということです。ギリギリまで元気でいて最後の数カ月だけ入院生活になるのか、10年以上介護サービスや家事サービスを利用しなくてはならないのかはまさに神のみぞ知る、です。ここでは医療保険や介護保険という国の社会保障の仕組みが役に立ちます。
同様に、老後の長生きを経済的に確保することも事前にみきわめることは難しく、「伸びしろ」のようなものを個人の財産で確保することはなかなかできません。やっぱり国の社会保障制度たる年金制度があると助かるわけです。
確かに社会保険料はとんでもない金額を引かれるいやな存在です。現役時代は文句のひとつも言いたくなると思います(私も必要だとは思いますが、金額は高すぎると感じます)。しかし、文句はいいつつ、きちんと払っていた人は、最後の最後にきっちりメリットを得ることができるのです。そしてそれはシングルほど、大事にしたいものなのです。
(文:山崎 俊輔(マネーガイド))
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