連合は5月29日、日本社会に関する意識調査の結果を発表した。調査は4月半ばの5日間、インターネット上で実施。全国の15歳以上の働く男女1000人から回答を得た。
将来に不安を感じることがあると答えた人は73%。男女別に見ると、女性77.2%、男性68.8%と、女性のほうがやや多かった。年代別では、「不安を感じたことがある」と答えた割合は50代(78.8%)が最多。その後30代(76.5%)、40代(76.1%)と続く。

理想の社会「緩やかな成長でも格差が小さい」「税負担が大きくても社会保障が充実」


不安があると答えた730人を対象に不安の原因を聞いた。1位は「老後の生活」(61.8%)で、2位は「預貯金など資産の状況」(50.4%)、3位は「家計のやりくり」(48.8%)と、老後の生活や家計の厳しさが上位に挙がった。
続いて、働く人の理想の社会を知るため、全員を対象に、相対する2つの選択肢を提示し、どちらが自分の理想に近いか聞いた。「格差はあっても力強く成長する社会」と「緩やかな成長でも格差の小さい社会」では、「格差の小さい社会」(73.0%)と答えた人が多かった。
「税金などの負担は小さいが、自己責任型の社会」と「税金などの負担は大きいが、社会保障が充実した社会」では、「負担は大きくても社会保障が充実した社会」(60.8%)を選ぶ人が多かった。
また、「住民同士のつながりが強い、地域で支え合う社会」と「住民同士のつながりが弱い、自己独立型の社会」では「地域で支え合う社会」(62.9%)が多くなった。競争によって発展を目指す社会より、格差が小さく、互いに支え合って穏やかに生きる社会を望む人が多いようだ。

「収入はほどほどでもワークライフバランスの良い社会」望む人8割

「生涯現役で活躍できる社会」と「引退しても老後が安心な社会」のどちらが理想に近いか聞いたところ、多かったのは「引退しても老後が安心な社会」(69.5%)だった。「定年まで同じ会社で働ける社会」と「転職が活発にできる社会」では、「定年まで同じ会社で働ける社会」(59.7%)がやや高くなった。
「収入は多いが、生活より仕事中心の社会」と「収入はほどほどでも、仕事と生活が両立できる社会」では、「収入はほどほどでも、仕事と生活が両立できる社会」(80.4%)が多くなった。大半が、安心して引退できる社会やワークライフバランスの良い社会を望んでいるようだ。
将来の日本についても聞いた。将来の日本が「良くなっていると思う」と答えたのは28.7%。日本が良くなるために必要なものとして最も多く挙げられたのは「安定した雇用」(63.8%)で、2位の「労働環境の改善」(46.6%)、3位の「医療や介護制度の充実」(43.3%)と大きな差を付けた。