収入が右肩上がりだった親世代とは異なり、年功序列の賃金制度は崩壊し、収入はなかなか増えていかない時代です。一方で教育費やマイホーム資金などの支出は変わらないので、いかに貯蓄できる家計力を付けるかがとても大切になってきます。

手取りからの貯蓄割合は20代で平均16%

金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)(2017年)」によると、手取り収入から貯蓄に回している割合は、20代で16%、30代で12%となっています。つまり、20代と30代の平均では14%貯蓄しているということに。

ということは、単純計算で手取り収入が月20万円であれば毎月2万8000円、月30万円であれば4万2000円貯められるということになります。毎月3万円貯められれば1年で36万円、毎月5万円なら1年で60万円貯まるので、1年、2年と続けていけば、まとまったお金になり、マイホーム資金や教育費など、いずれ必要になる費用に備えられます。

10月には消費税が10%にアップする予定など、家計をじわじわ締め付けることになりそうです。なにげなくお金を消費していては、貯蓄に回せるお金を捻出するのはなかなか困難になってくるのです。今のうちに貯金ができる家計へと生まれ変わることが、より重要になってきます。

「今のままでも貯金できないのにどうすればいいの?」という人は、一度しっかりと家計を見直してみましょう。そうすれば毎月3万円、5万円を貯められる家計に生まれ変わることができるのです。

まずは無駄な支出がないかをチェック

月に3万円貯金をするなら、日割り換算で1日1000円、5万円なら1日1667円貯める必要があります。夫婦で貯金するなら、1人当たりその半額ということになります。まずは日頃の家計を見渡して、無駄がないかをチェックして、貯蓄に回せるお金を探し当てましょう。

お金の出どころは「財布」「クレジットカード」「銀行引き落とし」の3つ。この3つに関して1カ月でいいので家計簿をつけて、なににどれだけ使っているかを把握します。また、年会費がかかるものについても、この際見直しを検討しましょう。

そのときチェックすべきなのは、以下の項目です。

1. 財布から出る使途不明金がないか
2. 通っていないスポーツクラブなどの月会費があるか
3. 使っていないクレジットカード、サービスの年会費があるか
4. 携帯電話やアプリなどで必要ないサービスに払っていないか
5. コンビニでなんとなく買っているものはないか
6. ランチは毎回外食をしていないか
7. 銀行のATM手数料を支払っていないか
8. 生命保険は無駄に加入していないか
9. 住宅ローンは何年も見直していないか

使途不明金は、何に使ったかわからないお金なので、まずはこれをゼロにすることを考えましょう。通っていないスポーツクラブの退会や、年会費のかかるクレジットカードの解約は、一度見直しをすると節約効果がずっと続きます。

また、携帯電話も料金プランを変更したり、格安SIMに乗り換えることで、月に数千円の節約につながります。必要ないアプリなども、この際プランの変更や解約も考えましょう。

この1~4の見直しで、比較的大きな支出の見直しが行えます。次に、毎日のお金の使い方の見直しを行いましょう。

コンビニで買い物をすると、飲料水は1本160円前後しますが、スーパーやドラッグストアで買えば100円以下に抑えられます。1日1本の場合、20日間で1200円節約することができます。何気なく買ってしまうお菓子類も、スーパーならもっと安く抑えることができます。

ランチがどうしても外食に偏りがちな人は、2回に1回はお弁当を持参するだけで、節約へとつながります。例えば外食券が貰える株主優待などを活用する方法も有効です。

銀行のATM手数料は、手数料がかかるコンビニATMや時間外の利用で、1回108~216円かかります。1回あたりは少額ですが、もし月に10回利用していたら、1080~2160円も無駄に支払うことに。月1~2回にまとめて引き出す、手数料がかからないATMや時間帯に利用するなどの工夫をしましょう。

もし、生命保険に加入しているなら、内容を確認して、重複していたり、必要のないものは解約したり、新しい保険への見直しも検討しましょう。

住宅ローンは、低金利の影響で数年前に比べて金利が低くなっています。住宅ローンの借り換えは、現在の住宅ローンとの「金利差1%」、「住宅ローン残高1000万円以上」、「返済期間10年以上」が、借り換え効果が期待できる目安だとされています。現在借り入れている住宅ローンの中身を確認して、借り換えがお得そうだと思ったら、金融機関で毎月の返済額や諸費用などをシミュレーションしてもらうといいでしょう。

支出の見直しで貯められないなら収入増も考える

家計を見直して、それでも毎月3万円、5万円貯められない場合は、収入を増やすことも考えましょう。今の仕事で給料アップが難しいならば、副業で不足分を補うことも考えましょう。国が副業・兼業を後押ししていることから、最近では副業を認める会社も増えています。勤務先で副業を認めているなら、空いている時間にアルバイトやパートなどで収入を得ることも可能です。

また、仕事や趣味など自分の特技を生かして、ネットショップを開いたり、講師などを行う人も最近では増えています。

いずれにしても、本業に影響のない働き方をすることが大切です。なお、副収入から経費を引いた所得が年間20万円を超えたら、確定申告が必要になります。

貯蓄分はとにかく先取りで貯金

以上の方法で毎月3万円、5万円貯められるようになったら、その分は先取り貯金してしまいましょう。給料日と同じ日に積立定期預金や財形貯蓄(勤務先が制度を導入していれば)に貯められるように設定します。

「残ったお金を貯蓄に回そう」と考えると、せっかく貯金に回せるお金も使ってしまいがちです。最初からなかったものとして「先取り貯金」することで、確実にお金を貯めることができるのです。
(文:滝田 知歩(マネーガイド))