社会人2年目になると、給与の手取り額が減るのをご存知ですか? せっかく昇給したのに、手取り額は変わらずということも。

社会人2年目に手取りが減る理由は? 住民税はいつから引かれる?

毎年、4~5月あたりに注目される初任給ですが、もうひとつ忘れてはいけないことがあります。それは「入社2年目」の給与の手取り額です。実は、入社2年目に手取り額が減るのです。 その理由は「住民税」です。

住民税は1年遅れでやってくる

住民税には1年の所得(1月から12月まで)に対して支払う「所得割」があります。この住民税の所得割は、前年の所得に対して支払います。つまり、住民税は前年の1月から12月の所得に対してかかってくる税金です。

それに対して「所得税」は、その年に課税は終わります。1月から12月の所得にかかる所得税をその年のうちに払っているのですね。所得税は、毎月の給与から天引きで源泉徴収され、12月の年末調整で精算されます。年末調整で、年間の所得や控除などが考慮され所得税が決まります(一部、翌年以降に確定申告をする場合もあります)。

ある年の所得に対して、所得税はその年に、住民税は翌年度にかかってくるのですね。所得税は国への税金で国税庁が管理しています。住民税は県や市町村の税金。まずは国が所得を確認して、その所得データを市町村が利用しているといったところでしょうか。

住民税は6月から天引きされ始める

社会人1年目は、前年に所得がないため住民税はかかりません。しかし、社会人2年目になると前年の所得(社会人になった4月から12月まで)に対して、住民税がかかってくるのです。社会人1年目にはかからなかった税金が、2年目からはかかってくるということです。

この住民税、いつから支払うことになるのでしょうか? 社会人は給与天引きで住民税を支払うのが一般的です(特別徴収といいます)。この住民税の天引きは6月からはじまります。6月から翌年5月までの12カ月で年間の住民税を支払うというわけです。

住民税の仕組みはわかりましたが、住民税ってどれくらいの負担なのでしょうか?

住民税の税率は一律10%

前年の所得に対して、6月から給与天引きされる住民税の所得割。税額は、以下の計算式で決まります。

税額=(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率(10%)-税額控除額

「前年の総所得金額」とは、給与や利子、事業などの所得から必要経費などを差し引いたものです。給与所得の場合は、必要経費が認められない代わりに、所得に応じて給与所得控除があります。

「所得控除額」は、扶養控除や生命保険料控除などのことです。所得税と同じ考え方ですね。

そして、税率は一律10%と決められています。「地方にできることは地方に」というスローガンで平成19年に行われた「税源移譲」で、住民税が一律10%になりました。

(※) 平成26年6月から10年間、住民税にも復興特別税が上乗せされます。

独身・年収300万円で住民税は12万円

実際の住民税の負担はどれくらいになるのでしょうか? 給与所得者のモデルケースを例にご紹介します。

独身者の場合、給与収入が300万円で住民税が12万6500円です。給与収入が500万円の場合は住民税が26万500円、700万円だと住民税は40万4500円となっています。

夫婦と子ども2人(うち1人は19歳以上23歳未満)の場合、年収300万円で住民税が9000円、年収500万円で住民税13万5500円、700万円で29万3500円となっています(これらはモデルケースでの試算です。実際の税額は個々に計算することになり、税額は変わります)。

入社2年目だと住民税は月7000円程度

入社2年目ではじめて住民税が天引きされるとき、何円ぐらい給与から天引きされるのでしょうか?

大学卒の初任給はおよそ20万円です。

月に20万円とすると4月から12月の9カ月で180万円。ボーナスは夏10万円、冬50万円支給されたとすると(ボーナス支給については会社や業界で大差があります)、年収は240万円となります。

年収240万円・独身の場合、住民税を計算してみるとおよそ8万3000円。毎月の天引きは6900円程度になりそうです。これらの計算は、収入はもちろん扶養家族、支払っている生命保険料などでも変わってきます。

いずれにしても、入社2年目の6月からは、住民税の給与天引きが7000円程度あることを覚悟しておいたほうがよさそうですね。
(文:福一 由紀(マネーガイド))