怒りの感情は何も生み出さないどころか、イライラしてストレスまみれになる行為です。そこで、怒りを感じたとしても、それをスッと消す方法論を自分の中に持っておくと便利です。

お金持ちは「怒り」の解消法を持っている

「金持ち喧嘩せず」は本当か? でもご紹介したとおり、富裕層は些細なことでいちいち怒ったりはしません。

とはいえ、そうすぐに割り切れるものでもないという意見もあるでしょう。しかし怒りの感情は、私たちの時間(つまり人生の一部)を奪ってしまうこともあるのです。

たとえば思い出すたびに腹が立つ、夜ベッドの中に入っても怒りがおさまらず、悶々としてなかなか寝付けない、といった経験をしたことがある人もいると思います。

そんな時間は何も生み出さないどころか、イライラしてストレスまみれになる行為です。そこで、怒りを感じたとしても、それをスッと消す方法論を自分の中に持っておくと便利です。

方法1. 思考からシャットアウトする

たとえば「考えてはいけない人のブラックリストを持つ」という方法。どこの世界にも自己中心的で不愉快な人間はいて、何度思い出しても腹が立つのですが、そんな人は自分の成長や成功にまったく貢献しない人です。

そんな人物のせいでイライラするのはバカバカしい。だから、「考えてはいけない人」のブラックリストを頭の中で指定しておくのです。

そしてふとした瞬間、その人を思い出してしまったら、即座に「コイツはブラックリストだ。考えてはいけない!」と、思考からシャットアウトするという方法です。

方法2. 文字にして怒りを吐き出す

あるいは、「議論で言い負かされてしまった」「上司の意見に反論できなかった」「交渉でやり込められた」「自分の意見を通せなかった」「自分は悪くないのに、自分のせいにされた」というとき。

後々までムシャクシャが尾を引き、「あのとき、こう反論すればよかった」「なぜ、ああ言えなかったんだろう」と、頭の中で反論がぐるぐると駆け回ります。壊れたレコードのように架空の会話が繰り返され、ほかのことがなかなか手につかなくなってしまいます。

そこで、腹が立つ相手に訴状を書くのです。といっても、実際に相手に送りつけるわけではなく、あくまで相手を訴えるという想定で反論文書を書く、という意味です。

たとえば、「あなたはそう言いましたが、私はそうは思いません。なぜなら○○だからです。それに、本来はこうあるべきですから、あなたの○○という発言は理解に苦しみます」といったように、自分が言えなかったこと、言い足りなかったこと、今考えうるベストな反論を訴えるかのごとく、全部吐き出してしまうのです。

ブログでもノートでもメモアプリでも何でもいいので、自分の思いのたけをぶちまけてしまえば、気持ちがすっきりして落ち着き、頭を切り替えてほかのことができるようになります。つまり脳内に溜まった「負の感情」というアカを吐き出す方法です。

方法3. 相手に過度な期待をしない

次に、「他人は自分の思い通りに行動してくれるとは限らない。むしろ思い通りにはならないことのほうが多い」という認識を持っておくことです。

怒りの感情とは、自分の期待とは違う言動をする誰かによって、引き起こされることがほとんどです。上司や部下、家族や友人に対しても、「自分はこういう期待をしていたのに、それとは違う反応・結果だから腹が立つ」というわけです。

そこで、「相手は所詮は他人。期待通りになるはずはない。だから自分の動き方を変えて、他人に依存しすぎない状況を作ろう」という姿勢で取り組むのです。

あるいは他人に何かをするときは、見返りを期待せずに、自分のためにやることです。「してあげる」という意識を捨てて、自分が嬉しいから、楽しいから、得をするから、という理由で行動すればいいのです。

そうしておけば、仮に期待とは違うことになっても、怒りでブルーな気分を引きずるという時間を減らすことができるでしょう。それは結果として、ストレスの少ない平穏な日々を過ごせることを意味します。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))