五輪開催の2020年、経済や暮らしはどうなる?
五輪開催の2020年、経済や暮らしはどうなる?
五輪が開催される2020年。「日本経済はどう動く? 五輪後、暮らしはどうなる? 2020年以降に起こりえる事態に備えて、何をしておくべき?」というご質問をいただきました。そこで、あくまで私の個人的な考えをご紹介したいと思います。
2020年の日本経済や暮らしはどうなる?
多くの人が心理的節目を感じる2020年ではありますが、国内は内需・インバウンドを中心に湧き立つのではないかと思います。実際、五輪に合わせて、大勢の外国人が訪日しますから、ラグビーワールドカップ以上の賑わいとなるのは間違いなさそうです。
また、全国主要都市の再開発も佳境を迎え、都心部はますます魅力的な街に生まれ変わります。
そういったポジティブな雰囲気に包まれ、消費税増税のネガティブな影響もなんとか乗り切れそうな印象です。
日本経済も堅調さを維持する見込みで、調整や一時的な下落があったとしても、それほど時間をかけずに復活するのではないかと考えています。地価も都市部を中心に高値を維持し、五輪後に暴落といったことは起こらないと予想しています。
今騒がれている中国経済崩壊とか、ブレグジットのハードランディングとか、ドイツ銀行破綻などによって金融危機が起こらない限りですが……。しかし、これらが私たちの生活に与える影響は非常に小さく、2020年の人々の暮らしは、そう変わらないと思われます。
では、何もしなくてもいいのか……というとそうではなく、その理由は後ほど解説したいと思います。
2020年の注目すべきは、アメリカ大統領選挙
2020年でひとつ転機の可能性があるとすれば、11月3日に予定されているアメリカの大統領選挙が挙げられます。現職のトランプ大統領が再選を果たすのか、あるいは交代するかによって、アメリカの経済・外交政策が大きく変わる可能性があるからです。
とはいえ、米国経済そのものは悪くないので、米国株式への投資が魅力的なのは、これまでも述べてきた通りです。仮に大統領が交代し、米中貿易摩擦が解消されるようなことがあれば、ますます面白いと思います。
ただし、日本に限らず米国もEUも利下げによって債券など金融商品の魅力がなくなり、機関投資家がハイリスク債に手を出すようになっていますから、金融危機や暴落の危機が全くないわけではありません。
また、米国株は2019年に何度も史上最高値を更新し続けており、割高感があるのも事実。今は株しか選択肢がないから、仕方なく株にマネーが流れ込んでいるという印象です。
なのですぐに逃げられるよう心の準備をしておくか、積立などドルコスト平均法を採用するという方法になるでしょうか。
暮らしが大きく変わるのは2022年以降!?
それはともかく、私たちの生活に大きな影響を与えるのは、2020年というよりも翌年以降ではないかと私は考えています。
なぜかというと、安倍首相の任期が2021年9月で完全に満了となり、後継者がどこまで今の路線を継承できるかが不透明であるからです。
たとえば、現在は史上最低といわれる低金利ですが、もし出口戦略に舵を切れば金利が上昇し、変動金利で住宅ローンを組んでいる人が苦しくなります。日銀も保有しているETFやJ-REITを吐き出す可能性もありますから、円高と株安の再来というリスクにもなります。
教育の無償化路線が変更になるかもしれないし、医療費の自己負担額がアップするかもしれません(実際、後期高齢者の自己負担割合を上げようという議論がなされています)。
また、貿易交渉で付け込まれて関税がアップすれば、輸出が減って輸入物価が上昇するということになるかもしれません。いずれにせよ、その影響は2022年以降にやってきます。
暮らしはもっと便利で快適に! 未来をポジティブに考える
つまり、2020年に何もしなくていいわけではなく、2022年以降への準備はした方がよさそうです。仮に何も起こらなくても、人口減少による内需減退や年金減額という未来はやってくるので、一定の備えにはなるからです。
また、AIやロボットが職を奪うという悲観論が多いですが、私はむしろもっと便利で快適な社会になるのではと期待しています。
たとえば、車の自動運転はもうすぐそこで、完全自動運転は難しいとは思いますが、健康年齢ギリギリまで運転ができるようになると思います。すると、住む場所の選択肢が格段に広がります。
車が必需品の地方・郊外に行けば家は余っていますから、激安で(あるいはタダで)住めるかもしれません。住居費がかからなくなれば、少ない年金でもなんとか暮らせるでしょう。
それに、副業解禁の流れは進みますから、個人に与えられた「インターネット」という武器を最大限に活用するチャンスです。SNSでバズったのをきっかけに、成功したという人はたくさんいます。こんな強力な武器をフル活用しない手はないと思います。
2020年は明るい話題が多いですからその流れに乗り、ぜひ家族やパートナーと明るい備え方を話し合ってみてはいかがでしょうか。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))
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