「1000万円以上貯めている人」は、“何もかも完璧にしている人”だと思ってはいないでしょうか。貯めベタさんからは、「自分は家計簿をつけられないから貯蓄は無理」などと諦めの声も聞かれますが、実は完璧でなくてOKなんです。

貯蓄上手な人は、意外と”完璧”ではなかった

貯蓄ベタさんの話を聞きますと、貯蓄上手な人は「家計簿をしっかりつけている」「銀行口座の残高やお財布の中身をきちんと把握できている」「無駄な出費は絶対にしない」というような、お金に完璧なタイプの人に見えるようです。

ところが、私が「1000万円以上貯めている人」など、貯蓄上手なのに楽しんでいる人にたくさん取材をしてきたところ、実は貯蓄上手な人は“完璧を目指していない”ことがわかりました。

押さえるところは押さえつつ、自分ができないことは適当、ざっくり……そんな感じで、完璧を目指していないからこそ、長年貯蓄し続けることに成功しているようです。

立派な朝食を作れないからといって、食べるのを諦める人はいない

貯蓄とちょっとはずれますが……「朝食を作る」ということに置き替えてみましょう。焼き魚やほうれん草のおひたし、出汁巻き卵などがずらりと並ぶような“和定食”は魅力的ですよね。

でも忙しい人が、そのような朝食を作るのはなかなか大変です(少なくとも、私にはできません……)。

でも、できないからといって「朝食は諦めて、食べずに出かける!」なんてことにはならないものです。

「前夜の残ったお味噌汁に、朝炊いたご飯、納豆プラスアルファのおかずでカンタン和定食にする」と考える人もいれば、「朝食はスピード重視。トーストかシリアルでパパッと済ませて、ランチや夕食で食事をゆっくり楽しむ」と考える人もいることでしょう。

これは、貯蓄の考え方でも同じです。

「家計簿がしっかりつけられない」「銀行口座を確認するのが苦手」「つい無駄な買い物をしてしまう」=「自分は貯蓄ができない人」と諦めてしまっては、もったいない。いきなり“完璧”を目指さず、自分に合ったやり方を見つけていくことが貯蓄上手の秘訣なのです。

「絶対に○○する」というスタンスは、失敗のもと

では、1000万円以上の貯蓄がある人は、どのようなスタンスなのでしょうか。例えば、ランチ代セーブのために、職場にお弁当を持っていく人も多いのですが、「絶対に毎日持っていく!」などと、激しく気合いが入っている人はいません。

「週4日だけ作って、週1回は外に食べにいく」「月曜日だけ作る」「作れない日は、白いご飯だけ持っていって、おかずだけ買う」などと、ゆるやかに考えている人が大多数です。

“絶対に”などと思っていると、ストレスが溜まっていき、そのうち爆発して「お弁当なんて、やめた!」ということになってしまいますもんね。

その他、家計簿でも、1円単位で毎日すべての出費をつけているという人には、めったに出会いません。「流動費(月によって出費の変動があるもの。食費や外食費、交際費、日用品代など)だけ、スマホのアプリでつけている」「レシートを取っておき、週末に眺める」というくらいの人も多くいます。

中には「家計簿を全くつけていない」という人も。お給料が入ったらすぐに貯蓄を別の口座に移す仕組み(財形貯蓄など)を作っているので、手元にあるお金を全部使っても貯蓄は確保されていて、出費の内訳を見なくてもいいというのが理由です。

もし、貯蓄0円から超短期間で100万円貯めたい場合は、ストイックに出費や貯蓄と向き合うことも必要ですが、“貯蓄1000万円以上”となると、長期間にわたります。“完璧”をずっと目指していたら、途中で疲れて挫折してしまいますよね。

貯蓄上手への道は、“完璧”を目指さないこと。ぜひ、できることから少しずつ始めてみてください!
(文:西山 美紀(マネーガイド))