東京海上日動火災保険は、自動飛行で農薬を散布する農業用ドローン(小型無人機)向けの保険商品を6月から販売する。
 ドローン運用中の事故だけでなく、農薬散布後の農作物に病気が発生した場合に再度、散布にかかる費用も補償。北海道では、自然災害により牧草など飼料の収穫量が減少した分を補償する商品も発売し、多様な保険で先端技術を活用したスマート農業の普及を支援する。
 農業用ドローン向け保険は、ドローンベンチャーのナイルワークス(東京都)と共同で開発。同社の農業用ドローンの購入者が加入できる。ドローンの落下で発生した対物や対人の事故などについて1件当たり最大3億円を補償する。
 さらに、ドローンで農薬散布後1カ月以内に病気が発生した場合、再度、病気の防除のために散布した農薬代や人件費を30万円まで補償する。保険に加え、ドローンの保守やメンテナンスなども含めたセットとして年間30万円で販売する。今後は農業用ドローンの海外展開を見込み、商品の販売を国内外で広げる。
 また、6月には北海道の酪農家に牧草などの飼料を供給するTMRセンターを対象に、自然災害により必要な飼料を調達できなかった際の損害を補償する保険も販売する。北海道では台風や地震に加え、猛暑による牧草への被害も増えており、補償のニーズが高まっていた。
 販売する保険は、自然災害により牧草などの収穫量が必要量を10%以上下回った場合に、必要量に足りない分の50%を損害認定し、外部調達した飼料代金を補償する。保険料はセンターの規模によって異なる。
 今後はITや人工知能(AI)を活用し、正確な飼料収量や損害額を把握できるシステムを導入することで、個人業者へ販売を広げる方針だ。