お金を貯めようと決めたら、まずは100万円を目標とする人も多いでしょう。でもなかなか100万円の壁を越えられない人もいます。達成するためのコツを紹介しましょう

貯金額「1,000,000」の数字を目で確認することが大事

なかなか貯められない人にとって、「100万円」はひとつの壁になっています。なぜ貯められないかを考えればキリがなく、問題点をあきらかにするために、まずは家計管理からと考えてしまいます。

でも、よほど派手なお金の使い方をして借金で苦しんでいるという人以外、必ず100万円は貯められます。そのためのちょっとしたコツをご紹介します。

ステップ1:最初からフルパワーでやらない

これまでお金を貯めることが上手ではなかった人が、最初からカンペキな計画を立てて貯蓄するのは、自分でハードルを上げ過ぎです。家計管理をして、支出をチェックして、ムダなお金がないか、節約できるのは何?……。これをやるだけで力が尽きてしまうでしょう。

「お金を貯める!」と心に誓うことができたなら、月5000円、1万円だけでもいいので、始めてみることです。このとき、何が有利か、どんな商品がいいのかと頭を悩ます必要はなし!

会社員なら「財形貯蓄」。制度がない会社員や自営業、フリーランスならメインバンクの自動積立定期預金。

思い立ったら、すぐに手続きをしてしまうことです。毎月決まった額が自動的に振り替えられて、お金が貯まっていきます。振り替えられた残りのお金であとは生活すればいいだけ。足りなければ必然的に節約するようになります。

ステップ2:口座を分け過ぎない

お金を貯めるときに、「何の目的のために貯めるのかを考えなさい」というフレーズを目にします。最初は考えなくていいです! 100万円貯めることが目的でいいのです。

海外旅行のため、自動車購入のため、住宅購入のため……。考えればいろいろ目的は出てくるでしょう。その目的のために口座を分けて、それぞれ○万円ずつ積み立てをすると、いつまでたっても、その口座で「1,000,000」という数字を目にすることができません。

最初の100万円が貯まるまでは、1つの口座でお金を貯めてもいいでしょう。カンマ2つがついた残高を確認することが、お金を貯められる人になる第一歩です。

ステップ3:知らないうちに貯まり、残高確認しやすい口座で

最初のうちは、金利の違いを比較検討する必要はありません。金利の違いの恩恵を受けられるのは、100万円などまとまったお金を自由に動かせる人だけ。

それよりも今は、自分の意思ができるだけ反映されない自動システムの貯まる商品を使うことのほうが大事。ステップ1でふれた「財形貯蓄」「自動積立定期」のこの2つで十分です。給料から勝手に振り替えられお金が貯まるシステムは、これらをおいてありません。

▼財形貯蓄●使うべき人は?
勤務先に財形貯蓄制度が導入されている会社員

●いくらから?
原則1000円以上1000円単位

●種類は?
一般財形、財形住宅、財形年金の3種類

●特徴は?
財形住宅と財形年金は合わせて貯蓄残高550万円までは利子が非課税。一般財形は利子非課税の特典はないが、使途は自由。財形住宅と財形年金は目的外の払い出しは原則不可。目的外の払い出しをした場合は、過去5年にさかのぼって利子非課税の特典がなくなる

▼金融機関の自動積立定期預金●使うべき人は?
自営業、フリーランス、財形貯蓄制度が使えない会社員、公務員

●いくらから?
1万円以上1000円単位が一般的だが、少額から可能な金融機関もある

●種類は?
最長10年までで自由に積み立てができる。期日指定や目的別に口座を分けられる金融機関もある

●特徴は?
指定した額が給与振込口座から毎月自動的に振り替えられる。1年ごとに1本の定期預金にまとめる機能や特典付きのサービスが利用できる金融機関もある

▼自分がやりやすい方法で、残高を確認する!ただし、勝手に貯まるとはいえ、目的は100万円貯めることですから、常に貯蓄残高は確認したいもの。

財形貯蓄であれば、定期的に勤務先が残高を報告してくれると思いますが、銀行の自動積立定期の場合、ネットやアプリを開いて、口座番号を入力して、パスワードを入れて……。これだけの作業をするのに時間がかかり、結局は残高確認をしなくなってしまいます。

アナログですが「銀行の通帳」で毎月決まった日に通帳記入をする。こうした行動を身に付けることも貯蓄がうまくなるコツでもあるのです。とはいえ、メガバンクでもWEB通帳に移行しつつあります。自分がやりやすい方法で、残高確認をするようにしましょう。

ステップ4:身近な目標を決めて、増額を考える

毎月1万円。1年で12万円。残高を毎月確認しても、これでは100万円は遠い道のり。やっぱり貯蓄は向いてない!と、ここであきらめてしまってはダメ。考えてみてください。これまで貯蓄ゼロだった生活と給与天引きで1万円足りない生活。何か変わりましたか?

カフェに行く回数が減った、ランチの値段を気にするようになった、携帯やスマホを使う時間が減った……。そう。何か変化はしているはずです。でもそれほど生活に困っていない。そんな風に感じたら、貯蓄を増やせるチャンス到来です!

ここで初めて家計=支出のチェックをしてみましょう。昼食代の予算を決める、缶コーヒーやペットボトル飲料を買わない、外食の回数を決める、携帯・スマホの基本プランを変更する……。これだけで月1万円~2万円は捻出できる可能性があります。

いきなり節約生活に入ってしまうとストレスで長続きしないばかりか、反動で衝動買いという事態にもなりかねません。無理のない範囲でムダを減らすように心がけ、浮いたお金はすぐさま積み立ての増額手続きをして確実に貯蓄に回しましょう!

▼ムリなく減らせる支出例・ランチ代/1日1000円→800円……月4400円減額(22日換算)
・飲料代/1日320円→ゼロ……月7040円減額(ペットボトル2本、22日換算)
・外食代/月1万円→月8000円……月2000円減額
・通信費/月1万円→月6000円……月4000円減額

⇒月合計1万7440円の削減が可能

ステップ5:100万円が見えたら、目標ごとに口座を分ける

1年で100万円貯めるには、毎月8万3000円の積み立てが必要です。これまで貯蓄ゼロだった人がすぐに実践できる金額ではありません。無理に1年で貯めようとせず、2年、3年かけてでもコツコツ継続していくことのほうが大事。

その間に、お金の流れが把握できるようになり、毎月貯められるお金が本当はいくらなのかが見えてくるようになるはずです。

100万円が見えてきても、そこがゴールではありません。その先を見据えて、次の貯蓄計画を立てましょう。それは「貯蓄の目標」を立てることです。

結婚資金にする、海外旅行資金にする、住宅購入の頭金にする……。貯蓄の目標は1つではないでしょう。目標が決まったら、次のステップでは、目標ごとに口座を分けることが貯蓄達人への道となります。

財形貯蓄でも住宅購入に有利な「財形住宅貯蓄」がありますし、一般の自動積立定期預金も銀行によっては目的別に複数の貯蓄口座を作れる場合があります。こうした商品を上手に使うことが、貯蓄成功の秘訣なのです。
(文:伊藤 加奈子(マネーガイド))