クレジットカード会社の大手であるJCBの調査では、クレカや電子マネーでキャッシュレス生活にしている人のほうが2.7倍貯金できているそうです。それって本当でしょうか

キャッシュレスにする人は貯金ができる?

クレジットカード会社の大手であるJCBの調査によれば、「キャッシュレス派」と「現金派」のあいだには、なんと貯金のペースは2.7倍もの差があったそうです。男性の場合、キャッシュレス派は年105.3万円、現金派は36.1万円の貯金額だったので2.9倍、女性の場合、キャッシュレス派年68.0万円、現金派29.5万円の貯金額だったので、2.3倍となったそうです。

ここでいうキャッシュレスについては、自分でそう思うかが定義なのですが、おおむね「クレジットカードを使う」「電子マネーを使う」「(銀行口座から直接引き落とす)デビットカードを使う」が、その選択肢となっているようです。

貯金のペースが違うということは、長い目で見て貯まる金額もまったく違うものになりますが、「クレカ」か「現金」か、あるいは「電子マネー」か「現金」かで、どうしてそこまで貯蓄金額が変わってくるのでしょうか。

単純にクレカを使えばお金が貯まるわけではない

このデータの提供元はクレジットカード会社です。しかしクレカ会社の調査だからといって、現金をやめてクレカや電子マネーを使えばお金が貯まるという調査結果をウソだとか「CMに違いない」と決めつけてかかるのは、もったいない話です。

確かに、安易な電子マネー、クレジットカードの利用は、「使いすぎ」の恐れもありますので要注意です。クレジットカードは高額決済に、電子マネーは少額決済に使われがちなのですが、実際に財布からコインやお札を出して誰かに渡す、という感覚が生じないので、「お金を使った感じ」を得ない消費になります。

「財布が軽くなった」とよく言いますが、その物理的な違いが感覚的に節約を促す効果はゼロではありません。1万円札が9000円に崩れたとき、「今使った」という感覚を持つことも、やはり節約を自分に印象づけたりするものです。

「電子マネーやクレカを使えば、誰でもお金が貯まる」というのは早計に思います。では、それでも調査結果で違いが出るのはなぜでしょうか。

家計を「見える化」する意識の違いに貯蓄率の差が出る

面白いのは別の設問に違いがあることです。キャッシュレス派と現金派のあいだで「お金の管理は得意か」とする設問に大きな差が出ています。キャッシュレス派では54.8%が自信ありとしたところ、現金派は39.7%と低くなっていたそうです。

確かにキャッシュレス派になるためには、電子マネーやデビットカードの仕組みを知ったり、活用法を考える必要があります。また、最初の手続きをする必要があっても、それを乗り越えるだけの意識もあるわけです。こうした人はおそらく、家計簿アプリを使いこなして家計を把握し節約にチャレンジしたり、複数の銀行口座を意識的に使い分けてATM手数料を絶対に払わないよう工夫をしたりしていると思われます。

これに対して現金派というのは言い換えれば「何もしていない」でもあるわけで、両者の「お金を管理し、貯める意識」にも違いが出てきた、と言えるのではないでしょうか。

まずは「お得」感覚で電子マネーやプリペイドカードから始めてみよう

実のところ、もはや「現金」が一番割高な買い物方法です。なぜならクレジットカード決済には0.5%以上のポイント還元がありますし、電子マネーも0.5~1.0%相当のポイント還元があります。またプリペイドカードを使ってタリーズやエクセルシオールカフェなどで決済すると、チャージのときにポイント付与があったり、利用時に割引があったり、利用時にポイントが貯まったりします。

この春からは本格的にモノの値段が値上がりするかもしれません。単純な「お得」感覚から電子マネーを使うようにしてみて、結果として家計を把握するような流れが生まれ、節約が実現したら、これは何倍にもお得なことになります。

キャッシュレスのファミレスがオープンしていたり、世の中の流れは現金よりキャッシュレスにあります。どうせいつかは、完全キャッシュレス時代に突入するわけですから、早めにキャッシュレスを試してみてはどうでしょうか。2.7倍とはいかずとも、貯金額が今より増えるかもしれません。
(文:山崎 俊輔(マネーガイド))