人生100年時代に入り、「老後」が長くなっています。そのため、老後に何らかの不安を感じている人は多いと思われます。そんなことを裏付ける調査結果が発表されました

20代から老後に不安を感じ、40代が最も不安度が高い結果に!

人生100年時代に入り、「老後」が長くなっています。そのため、老後に何らかの不安を感じている人は多いと思われます。そんなことを裏付ける調査結果が発表されました。メットライフ生命の「『老後を変える』全国47都道府県大調査」です。この調査結果のなかから、筆者が興味深いと感じた結果をピックアップして紹介するとともに、意見を述べてみたいと思います。

まず、筆者が注目したのは、調査に参加した47都道府県の20~70代の男女(14,100人)の約8割が、「老後への不安がある・ややある」と答えていることです。80代以降は含まれていないものの、日本の中核を占めている年代の8割の人たちが老後に不安を感じている日本は、いったいどういう国なんでしょう?というのが、結果を見たときの第一印象でした。

それはさておき、回答をもう少し詳しく紹介しましょう。「不安がある・ややある」と答えた性別・年代をみてみます。性別では、男性79.3%、女性84.0%でした。女性の方が長生きの傾向が強いので、これは納得できる結果といえます。

年代別では、次の通りです。

・20代=86.2%
・30代=86.2%
・40代=87.6%
・50代=85.9%
・60~70代=73.6%

20代からすでに老後に不安を感じ、年代を重ねるごとに不安が増し、40代がピークです。20代から老後に不安を感じることはないだろうに、と思わないでもないですが、20~30代は「自分たちはもらえないから……」と、公的年金の先行きを不安視している年代なので、高い数字になったのでしょう。40代も公的年金への不安、そして、老後資金を貯める時間があまり残されていないことへのあせりからでしょうか、最も不安度が高くなっています。

50代からは数字が下がりますが、それでも、50代は85.9%、60~70代は73.6%と、不安度は高い水準です。

20~70代のすべての年代で、認知症が不安要因ワースト3に入っている!

では、老後に対する不安要因はどんなことでしょうか? ワースト1は、20~50代が「お金」、60~70代は「健康」をあげています。人生100年時代に入って「老後」が長くなっていることを考えると、不安なのは「お金」の準備ができるのかということなのでしょう。60~70代は、「お金」より「健康」が不安というのは、60代の筆者には分かるような気がします。

さて、筆者がちょっと意外だと思ったのは、「認知症」がどの年代でも、ワースト3位以内に入っていることです。20代と70代は2番目、30~50代は3番目です。20~50代は、身内か親類、知り合いが認知症を発症したのを見たり、聞いたりして不安なのでしょう。60~70代は、そろそろ「自分事」として不安なのだと思います。

生きたい年齢と平均寿命にギャップが!

人生100年時代、「何歳まで生きたいか」の答えは、20代は77.5歳、30代は78.9歳、40代は78.5歳、50代は79.7歳、60~70代は84.5歳でした。20~50代が生きたい年齢は70代後半で、平均寿命とのギャップが気になりました。

2017年の日本人の平均寿命は過去最高で、女性87.26歳、男性81.09歳。これは、今後も延びそうです。すると、20~50代は生きたい年齢より長生きすることになります。これは、老後資金準備や高齢期の過ごし方の計画に狂いを生じさせる要因になりそうです。ですから、今、生きたいと考えている年齢より15~20年長生きしても大丈夫なような老後の準備をするようにしましょう。

60~70代は、生きたい年齢と平均寿命にそれほどギャップはありませんが、実際には90歳過ぎまで生きる人が多そうです。やはり、84.5歳より長生きすると想定して、老後の準備を見直しましょう。
(文:小川 千尋(マネーガイド))